①出国費用の開示

手数料だけではなく、教育・寮費・食費等を含めた“出国にかかる総費用”を出させましょう。

但し、多くの送り出し機関で、実習生と募集者間の金銭授受に関して関知していないところが多く、正確な金額を提示できない・しない場合が考えられます。入国後に技能実習生から聞き取りをした際に、送り出し機関から聞いていた話と乖離がある場合はここが原因です。

【手数料≠出国費用≠借金】であることを理解しておきましょう。

②教育体制・教育内容の開示

・学習期間

多くの場合、半年程度ですが、コロナ禍後、少しでも早く入国させたい・入国してほしいという要望もあり、学習期間が短縮傾向があります。実習実施者の希望する配属時期から逆算し、十分な学習期間が取れるように面接時期を調整しましょう。

・学習時間

1日あたり何時間、入国迄の期間にどの程度、学習期間が確保されているかの確認は必須です。

・到達レベル

上記の期間で、どのレベルまで到達しうるのか、その期間で十分なのか否かを確認しましょう。営業部職員に質問しても的確な回答が得られない可能性もある為、教育部の責任者に確認するのが望ましいです。

・日本人教師数(担当業務・日本語教師の資格の有無も含め)

日本語教育経験も資格も有していない客寄せパンダ的な日本人教師も存在します。日本人教師がいる場合、直接話すことが望ましいです。また、“校長”や“センター長”という肩書の下、いるだけで授業に入っていない場合もあるので、日々どんな業務をこなしているのかは要確認です。

・現地人教師数(日本語能力も含め)

日本人教師は会話を担当しているだけの場合が多く、学習期間中に技能実習生に教える時間が最も長いので、現地人教師の日本語能力・教授能力はそのまま技能実習生の日本語能力に直結します。クラスに入るなりして、現地人教師と直接やり取りをするのがいいでしょう。

・在籍人数

日本人教師がいる場合、日本人教師1人あたり何名の技能実習生を見ていることになるのかの確認です。例えば、300人に対して1人か、150人大して1人かでは学習期間中に日本人が教えるコマ数に大きな差が生まれます。

・クラスあたりの人数

現地人教師の教授能力は非常に高いわけではない為、クラスコントール上、クラスあたり20名迄が限界でしょう。25名、30名、或いはそれ以上となると教師は惰性で授業をしているだけ、学生は惰性で授業を受けているだけになりがちです。人数が多ければ多いほど1コマ中に話す・聞く時間が少なくなり、日本人教師がクラスに入っても一言も発しないまま終了することも大いにありえます。

・使用教材

各国既製テキストを使用している場合が多いですが、国際交流基金作成の『いろどり』以外は文法積み上げ式のテキストとなる為、技能実習生に求められる“話す”“聞く”の能力を伸ばすには学習期間を鑑みても不十分です。送り出し機関がそれに気づいているのか、気づいた上で対応をしているのかは要確認です。

間違っても、「経験豊富な教師陣」「日本経験のある熱心な教師陣」という抽象的で意味不明な謳い文句に引っかからないように注意しましょう。

元技能実習生、元留学生が日本語教師をしている場合が多く、また、各国において、外国語教授法が一般的ではないことを考えると、現地人教師の純粋な日本語能力や経験年数を確認する必要性は非常に高いです。

契約前の視察時には、日本語教育に詳しい人間を同行させるのが精度を上げることに繋がるでしょう。

③どこまでできるのか?の事前開示と確認

・対応可能な人材要件

採用予定の職種ごとにどこまでのハードル(年齢・学歴・職務経験等)が設定可能かの確認をしましょう。給料との兼ね合いもありますが、ハードルを上げられるのか、そもそもハードルを設定できないのか等、職種によって大きく異なります。

・職種ごとの必要な待遇

日本人もそうであるように、技能実習生にも好まれる職種、敬遠される職種というものが存在し、それぞれに必要な待遇が異なります。当然ですが、募集が困難であればあるほど、必要な待遇は上がります。送り出し機関に何も確認しないまま求人だけ投げて何か月経っても募集が完了しない塩漬け求人化することもありえます。

・採用面接渡航時のアテンド対応

国によって、送り出し機関によって、やれる範囲の差が大きいです。送り出し機関におんぶにだっこしたいのか、全て日本側で準備対応するのか、事前に詰めておくのがいいでしょう。

渡航費や宿泊代を送り出し機関に負担させる監理団体もありますが、愚の骨頂です。最終的にその費用が誰に転嫁されるか頭を使いましょう。

・募集倍率

職種によって募集可能な人数が異なります。苦も無く3倍以上集まるものもある一方で、1倍も集まらないものもあります。

そもそも実習実施者がどの程度を必要としているのかを確認し、それに合わせて対応を送り出し機関に依頼しましょう。

根拠のない「3倍信仰」が送り出し機関業界にはありますが、サクラや頭数合わせて入れた箸にも棒にも掛からない人材も含めた3倍の候補者を見るのか、送り出し機関で一次選抜をした上でみる2倍の候補者とでは質が大きく違ってきます。

当然、多くを集めるにはそれだけの待遇を提示する必要があることも忘れないようにしましょう。