技能実習生が日本語を話せないと、困るのは受入企業側です。

育成の一環として、監理団体や送出機関と共に、知恵を絞り、工夫を凝らして、継続的に取り組むことが肝要です。

目に見えるメリットの提示①:目の前のニンジン

わかりやすく言えば、昇給や一時金等のニンジンをぶら下げることです。
N3合格、N2合格で時給を〇〇円上げる、一時金で〇万円支給等が代表例となります。
雇用条件に記載をするなり、採用面接の段階で提示をしておくのがよいでしょう。
「日本語が上手だったら、帰国後に稼げるよ」という漠然、且つ、遠いニンジンは、ニンジンになりえないので注意が必要です。
技能実習生の多くは、目先の利益を求めています。個別具体的に明示しましょう。

目に見えるメリットの提示②:キャリアプラン(日本国内)

特定技能1号までの道筋が整い、技能実習2号、或いは3号満了から特定技能へ移行する人材は増加しています。自社の修了者をそのまま更に長期で特定技能として雇用していく為にも、最初の入口の段階で、年功による昇給プラン、日本語や職能等の資格給による昇給プランを明示していくことが重要となります。

外国人には全く響かない為、間違っても、「頑張れば稼げる」等の曖昧な提示は避けるようにしましょう。

又、仮に自社で特定技能雇用を検討していなかったとしても、他社へ移るにあたり、日本語能力が高ければ高いほど給料に差が生まれます。SNS上の求人を見る限り、2~3万円程度開きがあります。この金額は、母国で地方在住の家族であれば、一世帯の生活費を賄えるレベルです。

「どうせ他社へ行ってしまうから」ではなく、3~5年の間でも、技能実習生の日本語能力が高くて困ることはありません。

目に見えるメリットの提示③:キャリアプラン(帰国後)

技能実習~特定技能終了後、いずれ母国に帰る人材が大半です。これは特定技能2号が拡大しても不変の現実です。

18歳で来日したとして、最大10年働いていも28歳です。約30年は母国で働くことになります。その際に、どのようなスキルを持って帰れば母国で高給と呼ばれる部類に入れるのかを理解しておく必要があります。現状、帰国済の技能実習生の中に特定技能として日本へ戻りたいという希望者は多いです。その主たる原因が、「母国で稼げないから」というものです。漫然と3年5年を終えただけ、大したスキルもない人材が母国で満足に稼げる理由は皆無です。まずはこうした現実を理解させることが重要になります。次に、帰国時点の能力でどの程度の求人・給与を得られるのか実際の求人で説明しましょう。N3ではMAX5万円、N2ではMAX10万円程度です。その給与での生涯収入及び生涯支出を計算させ、赤字になるか黒字になるのか自身で計算させてください。赤字であるならば、日本での時間をどう使うべきなのかという答えに自ずと近づいていきます。

こうした実際による数字の計算は入国前の送出機関から入国後の監理団体・実習実施者までが同じ方向で統一した話を何度も何度も局面ごとに刷り込み続けていくことが重要です。

目に見えるデメリットの提示

最大のデメリットは、技能実習2号移行の学科試験に不合格での帰国でしょう。

その先の3号も、転籍の際の日本語能力、転職の際の試験なども、本人が希望してもその希望が叶わなくなる確率が高まります。

注:上記イラストの金額事例は、2020年の頃のものとなります。円安状況などで変わってくると思われますので、考え方などのご参考になさってください。

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