現在、外国人技能実習生ビジネスに目を付ける方々が増加し、入国後講習施設(=研修センター)を開業する方々が後を絶たず、群雄割拠の時代に突入しております。開業後に「こんなはずではなかった…」と破産しないよう、以下3つの診断を行って下さい。

➀ 「技能実習法」だけでなく、入管法令・労働関係法令等、制度関係者と対等に渡り合えるほどの知識・経験を有するか。

ボランティアでも無く、留学生でもなく、日本企業へ就職する「技能実習生」の母国背景から配属後までの対応を実践し、数多くの監理団体の要求に対応できるほどの知識・経験・技量が無ければ、監理団体からの利用依頼はありません。

② 建築基準法・保健所対応など、「宿泊業」及び「食品製造・調理」等の知識、学校運営のノウハウを熟知しているか

入国後講習施設は、日本語学校的な経営方法では運営できません。年中無休で宿泊者が在籍し、調理を行う場所がある。よって多岐に渡り、関係法令への精通が求められます。

➂ 他社に対する「差別化」ポイントと、創業当初より利用が確定している「固定客」で損益分岐点を超える状況が確定しているか。

乱立する入国後講習施設の中から自社が選ばれる「差別化」部分が明確でなければ、現在、他の入国後講習施設を利用している監理団体が乗り換えることはありません。また創業当初より、賃料、人件費、光熱費の支払いなども発生する中で、自身に関係する監理団体以外、どのくらいの技能実習生の利用が見込まれているか(=契約監理団体)ここが不透明ですと、赤字経営が続く原因となります。

技能実習生の入国から立ち会うことは、到着時間が不安定な国際便の送迎から業務が発生することになります。夜に朝にと業務が発生し、講習時間以外にも技能実習生の管理作業が発生するため、施設内では就寝時でも安心できる時間がなくなります。この生活リズムが24時間365日続くことを想像してからの開業を検討した方が良いと思います。


物件に関して

「寄宿舎」物件、「事務所」物件で言えば、消防からの開業許可を得るために「寄宿舎」物件を探さなければいけなくなります。入国後講習施設は、就寝人数=売上となるため、できるだけ多くの人数の就寝が許可される物件が良いのですが、それに対する教室数の確保、収納スペース、水回りスペース、事務所、駐車場の確保等が必要になります。

・空港からの距離
・外国人が住居することへの近隣の理解
・施設出入口経路の数
・近隣警察・消防の協力姿勢
・給水能力・排水の水道管の口径

開業後のトラブルを避けるため、あらかじめ数々の優位性を確認しておく必要があります。

送迎業務を実施する場合、交通費・駐車料金・人件費、送迎業務に必要な時間が経営に大きな影響を与えます。〇〇空港へは行くに遠い、空港への片道が2時間かかる。ただ人を運ぶという作業に対する出費や事故の危険が高まります。

施設周辺が住宅街、子供達にも遭遇するような場所の場合、日本人の両親達から猛反対に合う可能性もあります。創業当初より近隣からの反対運動に合わないよう、事前に地域の調査が必要です。

施設がマンションのような場合、技能実習生がいくつもの場所から外出が可能となります。この場合、守衛を置くこともできず、監視カメラを数多く設置しても、実際に管理をすることはできません。適切な物件は、一定の玄関を通らなければ外出ができないような物件となります(避難経路は別に確保)

地域からの公的支援を受ける際、警察・消防が非協力的な地域の場合、問題が発生した場合、解決が困難となります。入国後講習期間において1ヶ月に1度は講習依頼に応じてくれるような地域での開業が必要です。

数多くの技能実習生が宿泊する場合、家庭では見ないような光熱費の請求が届きます。エアコンのタイプ、都市ガスとプロパンガス、入浴方法により水の供給能力と排水能力。特に水道管の口径は、ホテル並みに太い光景が必要となります。一度に何十人もの人達が入浴する、髪の毛が流れる。排水管のトラブルを起こせば、近隣にも迷惑の掛かる恐れがあります。後から工事も可能ですが、道路を閉鎖し、道路を掘り起こし、水道管の交換ともなれば、1千万円以上の工事にもなりますので、資金力が無い方には対応はできません。


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