本来、協同組合における重要な議決は代表理事等1名の意思で方針が決まるものではなく、総会または理事会での議決が必要です。しかしながら、実態として水面下では代表理事等の実質のオーナーの意向次第で協同組合の売買(経営権の譲渡)が行われているのも事実です。ただし、あまり協同組合の知識がない方が売買を行うのはリスクが伴います。

過去にも高額の代金を支払ったにも関わらず、定款の事業に技能実習事業が入っていなかった、監理団体の許可申請に必要な書類が整っておらず1年待たなければ申請できなかった、技能実習生がいる監理団体を購入したものの、職種が適切ではない実習実施者があった等様々なケースがあります。少なくとも、下記の書類を契約締結前に確認し、可能であれば実習実施者への訪問もした上で判断されるようご注意ください。

協同組合設立認可書
現行定款
登記簿謄本
定款変更認可書(設立以降に定款変更がある場合)
役員変更届(設立以降役員変更がある場合)
事業報告書(協同組合管轄官庁向け)
組合員名簿
決算書(少なくとも3期分)、税務報告書
納税証明書(少なくとも3期分)
 
(以下、技能実習を実施した経験がある場合)
監理団体許可証
監理団体許可申請書写し
実習実施者一覧
事業報告書(技能実習機構向け)
変更届(変更した事実がある場合)
監査報告
訪問指導記録書
監理費管理簿
外部監査報告書 
技能実習計画認定申請
在留資格認定証明書交付申請(資格変更、期間更新)

協同組合の設立ではなく、経営譲渡を考える理由の一つとして、設立および許可に係る期間の短縮が理由という方も多いと思われます。しかしながら、本店所在地を移転し、役員を入れ替え、地区・組合員の資格を変更するのにもかなりの時間がかかります。下手すれば、数百万~数千万円で購入したにも関わらず、1年経っても許可が出ないなどということにもなりかねません。

自ら手続きを行うにせよ、行政書士やコンサルに依頼するにせよ、まずは事業開始までにかかる費用と時間を見極め、時には専門家を活用し、設立または経営譲渡の判断をしてください。