「事前ガイダンスの説明」は受入企業又は登録支援機関が行うことになっています。もし本人がこの説明を受けていない(理解していない)としてトラブルになった場合、受入企業及び登録支援機関の責任も問われる可能性がありますので、確実に理解してもらうまで実施しましょう。

この事前ガイダンスは、特定技能外国人のための支援項目、最初の支援内容です。

何事も最初が肝心、初めて受け入れる先はもちろん、技能実習生から特定技能へ移行する際も、転籍、転職で受け入れる際も、在留資格「特定技能」について、きちんと説明しておきましょう。

また、聞いてないなどを避けるため、きちんと支援したという立証のためにも、入管が提示している書面に基づいて、説明をし、理解し了承したといった署名を残しておくようにします。

※この書面に残す行為は、所定の書式の有無にかかわらず、全ての支援内容に総じて必要となります。

事前ガイダンスで必ず伝えなくてはいけないこと(義務的支援)

→雇用契約書の内容を理解してもらうようにしましょう。入職後に聞いてない、条件が違うとならないよう正確に行いましょう。ここがきちんとできていないと後で必ずトラブルになります。住民税控除が始まるタイミングや控除額、残業、休暇など細かく確認が必要です。

→本人達の在留資格と日本でできることを正確に理解してもらいましょう。出来ないことをしっかり教えておくと言い換えてもいいでしょう。パスポートに貼付される指定書もあわせて確認をしておきましょう。特定技能ではパスポートに指定書として記載のある「就労先」で、「指定されている分野の業務」以外は就労できません。

→新たに入国する場合、交付された在留資格認定証明書を送出機関または本人に送り、現地の管轄の日本大使館・領事館にて査証申請を行うことを説明しなければなりません。
また在留資格認定証明書の交付日から3か月以内に入国する必要がある旨も併せて説明しましょう。
既に日本に在留している場合は、在留資格変更許可申請を行ったうえで、在留カードを受領する必要がある点を話せばよいでしょう。

→日本では雇用契約違反についての違約金や保証金等、いかなる名目であれ、人材または関係者から金銭を徴収することは禁止されています。ただし、送出国において合法である場合は、その範囲内以上の支払いがないことを確認する必要があります。(内政干渉となりますので、送出国での人材からの費用徴収についてはゼロを求めることは不可能です)これらについても説明をし、支払いの有無を確認する必要があります。

→「直接であれ間接であれ、特定技能外国人に日本国内での”支援にかかる費用”については一切負担させてはならない」のが日本の法律であることを説明し、就労中(支援機関注)に不当な支払先が介在していないことを確認しなくてはいけません。

→特定技能外国人が入国しようとする空港や港において、受入企業が当該外国人を出迎え、受入企業の事業所もしくは当該外国人の住居までの送迎を行うことを通知します。(事前ガイダンスのこの時点では、入国時に空港からの送迎には心配せずとも良い事を説明し、安心してもらいましょう)
※なお、日本国内在留中の外国人の転籍、転職組の場合の送迎については法的に支援せずとも良いとなっています。この点も理解し説明しましょう。もちろん丁寧に送迎対応した方が気持ちよく就労を始められるでしょう。

→特定技能外国人のために実施する、適切な住居確保に係る支援の内容を説明します。
具体的には住居の広さ(7.5平米ルール)や家賃、その他当該外国人が負担する金額等を通知し、理解してもらいます。
注:送出国によっては、家賃負担額として○○円までなど、ルールとして定めている国もあります。この角度からも確認が必要です。

→特定技能外国人から職場は勿論、日常生活においても相談・苦情を受けられる支援体制があることを説明しましょう。具体的には支援担当者、支援責任者、通訳など、支援計画書に記載のある人が支援することを説明します。また、受入企業の担当者との連絡方法の周知(電話番号、SNSその他の連絡ツールの共有化)なども伝えて整備すると安心ですね。

上記のすべてを説明し、特定技能外国人の理解と納得を得たうえで「事前ガイダンスの確認書」(参考様式第5-9号)にサインをしてもらうようにしましょう。

「事前ガイダンス」は、義務的支援の一つとなっており、雇用契約締結後、国外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請の前(国内在住者を雇用する場合は、在留資格の変更申請前)に実施することになるため、義務的支援の中で最も早い時期に実施することになります。

実施方法は、対面又はテレビ電話などにより、必ず本人であることの確認を行った上で実施することが求められており、郵送又はメールで送付するのみで実施することは認められていません。また、本人がしっかりと理解できる言語で実施する必要があるため、母国語対応できる体制構築も必要となってくるでしょう。(入管が提示している書面は”参考様式”なので、母国語併記の書面を独自で作成し、説明と署名をもらうと良いでしょう)

「事前ガイダンス」の内容を本人が十分に理解するためには、3時間以上の時間をかけて実施することが求められており、「技能実習2号を良好に修了した者」を同一機関で引き続き特定技能として雇用する場合であっても、1時間に満たない場合は、事前ガイダンスを適切に行ったとは判断されませんので、ご注意ください。
また、特定技能外国人が他社へ転職したような場合であったとしても、新しい受入機関側で「事前ガイダンス」を実施しなければなりません。

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