原則として友人とのお金の貸し借りは禁止していると思います。
仮に友人、消費者金融から借りるような状況が発生するのであれば、お気軽に受入企業より給与の前払い・前貸しができるような雰囲気を構築しておくことが監理のコツです。

特に注意したい時期が、「入国」早々です。

技能実習生の入国後、「講習手当」を支給すると思いますが、平均は6万円前後。この金額は、ここ10年、20年と変わっていません。この講習手当の金額で、最初の給料日まで生活をするよう指導している現状。1ヶ月半、2ヶ月、それ以上、食費を含めてこの金額で食材費用、不足する生活用品の購入も含めて日本人は対応できるのでしょうか?

大きな家電製品は受入企業が準備する。
しかしトイレットペーパー、ゴミ袋、洗剤…細々とした生活用品は技能実習生任せ。この時期、最も多く「友人との貸し借り」が発生します。

その結果、お金だけの問題ではなく、街に置いてある拾得物を回収しトラブルに発展したり、禁止されている区域において「魚釣り」を行い通報されたり、家畜・野菜等の盗難を行ったりと、生きるために必死の方法を考え出します。

技能実習生が「借金」をするような状況は、あくまでも日本側が原因を作っていると考えれば、未然防止策が浮かんでくると思います。


まず、2022年7月に出入国在留管理庁より発表された『技能実習生の費用負担に関する実態調査』を確認しましょう。

技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について

【出国にかかった費用・借金の総額を把握しておかなければならない理由】

①ベトナム、中国は、費用負担額の幅が広く、100万円前後を支払った層が一定数存在している点。更に、送り出し機関が同じであっても、出国までにかかった費用が異なることがままあります。

②費用以上に借金をしている層が一定数存在している点。日本での収入を見込み、捕らぬ狸の皮算用的に多めに借り入れを行う技能実習生・家族は少なくありません。

なぜ、費用・借金の総額を把握しておかなければならないのか?それは、単純明快で、「失踪」に直結するからに他なりません。失踪しないまでも、副業(スマホ販売、SIM販売、スマホ売買・譲渡、衣類販売等々)に精を出す技能実習生も出てきます。技能実習生は3~5年で、どの程度の期間で借金を返済し、その後、どの程度貯蓄・送金できるかを想定して入国してきます。入国後、その想定に届かないと認識した場合、失踪が頭を過ることになります。失踪しないまでも、「給料を上げてくれ」「残業をくれ」等の要求が起こるでしょう。その為、特に実習実施者は、技能実習生がいくら借金をし、何年働き、いくら貯蓄・送金する想定でいるのかをしっかり把握しておく必要があります。

聞き取り時の注意

《送り出し機関に支払う費用≠出国にかかる費用≠借金》

実習実施者の場合、技能実習生の状況・希望を把握しておけば、失踪という最も忌避すべき事態を回避、或いは、危険性を軽減することが可能になります。
監理団体の場合、そもそも、出国にかかる費用を事細かに説明できない送り出し機関、入国後の実習生への聞き取りと齟齬が発生するような送り出し機関を使用しないことが最もリスクを最小化することが可能です。実習実施者が送り出し機関を選ぶことはほとんどありませんが、上記の通り、実習実施者の与り知らぬところでかかった費用によって、最悪の場合、失踪という直接的な被害を受けるのは実習実施者です。送り出し機関を単なる技能実習生を送ってくる会社という認識でいるのではなく、どういった送り出し機関で、どういった経営をしているところなのかをしっかり把握しておくことがトラブル回避に非常に重要になってきます。


 実習生たちにとってお金は大切な部分ではありますが、なぜかお金の貸し借りについてはルーズである印象があります。実習生同士での借金は、結構まとまった額を貸し借りしており周りにも話していない場合があります。失踪や帰国後に分かることも多く、自己責任と言わざるを得ないのが辛いところです。
また、会社にお金を貸してほしいと頼んでくることもあります。よくあるのは親兄弟の治療費がまとまって必要なので貸してほしい等と頼んでくる場合です。貸しても良いのですが、どこの国にもお金にルーズな人間はいますので、返ってこなくてもいいぐらいの気持ちがあるなら貸してあげましょう。
但し、返済の計画はきちんと立てさせておいて返済が終わっていないのにまたお金を貸すことはないとはっきり言っておきましょう。
おかねをうけとったらすぐに失踪するかもしれないリスクも負うことになります。


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