キャリア教育に関しては、海外面接に参加する外国人材が本当に求めているのか?日本側の受入企業が本気で行う意思があるのかの事前確認が重要です。

外国人材が3年間の「出稼ぎ」と割り切った人生計画を行っている場合。母国よりも数倍の収入に期待して、帰国後には母国で結婚、出産と幸せな家庭を築く夢も、立派な来日目的です。

このような人材も、日本での生活に必要最小限(自身が困らない程度)の語学学習には励みますし、指示された作業に関しては一生懸命行います。ただし将来的な向上心には欠如しますので、このような人材に対し過度に期待をすることは、採用段階からのミスマッチが生じていることになります。

また受入企業側も、外国人材に多大な依存をしていない職場。法令遵守の待遇は行うが、求める作業参加は単純作業の繰り返し。来日後、日本語学習の重点的な必要もなく、見よう見まねで1週間程度にて支障が無いような作業の場合、外国人材側から過度な技能、技術、知識を求められても困惑してしまいます。

同じお金が得られるならば、難しいことを求める職場ではない方が良い。そのような方を採用することがマッチングであり、キャリア教育を求める人材と受入企業との出会いの場を提供することが第一歩となります。


外国人材のキャリアプラン・人生設計

入国前にキャリアプラン・人生設計について指導してもらいましょう。
送出しが実施してくれなかったら、入国後早い時期に貴方が指導して、一緒に考えてあげてください。
さあ!  「あなたもキャリアプランナー!!!!!!」

日本で何年働けるのか?

そもそも入国前、且つ、技能実習生になったばかりの外国人が現在の複数の在留資格、在留可能年数、またその得方をしっかり理解している者は多くありません。実習3号ができ、特定技能1号・2号ができた今、外国人には多くの選択肢があることをまず説明する必要があります。

日本で何年働きたいのか?

3年?5年?8年?10年?もっと?

入国前の希望年数ほどアテにならないものはありません。3年で良い! と言っていた外国人が3号・特定技能で延長、ずっと日本で働きたい! と言っていた外国人が3年満了で帰国といったことが普通に起こりえます。それでも、自身の目の前にどのような道があるのかを理解させておく必要性は非常に高いです。
実習実施者にとっても、少しでも長く外国人に働いてほしいのであれば、それに合わせた待遇・キャリアプランの提示等の準備も必要になってくるでしょう。

結婚・出産

どうしても確認しておく必要があるのが、結婚と出産。 これには本人だけでなく家族の意向も入ってくるので・・

希望する期間でいくら稼げるのか?

雇用契約書への署名・捺印後、その給与、及び日本側から案内されている残業代の有無等を元に、日本滞在期間中にいくら送金ができるか、いくら手元に残るかを実際に計算させましょう。食費・雑費はもちろん、帰国前のお土産購入、年金還付金等も含め、手取りではなく、最終いくら残るのかの計算をさせるほうが現実的です。

実習生にとって、手取りはもちろん大切ですが、入国前の時点で、食事や雑費にいくらかかるのかはイメージできない為、手取りだけで計算させてしまうと、日本に入国した後、実際に手元に残るお金と小さくない差が生まれてしまいます。

帰国後、いくら稼ぎたいのか?

特定技能2号へ進まない限り、滞在期間に長短はあるものの、外国人はいずれ帰国することになります。帰国した後の人生のほうが長い為、ここの青写真が描けていないと、帰る直前になって、失踪してもっと稼ぐという短絡的な発想・行動を取ってしまう危険性が高くなります。

帰国時の自身の能力がどの程度か?

自身の能力に全く見合っていない、一切の根拠のない高望みをしている場合が少なくありません。基本的に、実習生がお金を稼げる最も得やすいスキルは「日本語」です。実習実施者が現地に工場や支店を持っており、帰国後そこに技術や経験を活かして、就職できる例もありますが、極めて稀です。

N3ならどんな仕事がって、いくら稼げるのか、N2ならどんな仕事があって、いくら稼げるのか、実際に現地にある求人を元に説明するのが望ましいでしょう。過半数の技能実習生が採用面接の自己紹介や履歴書に記載している「日系企業で働きたいです。」はほとんどの場合、実現しません。

現実をきちんと理解させ、現実的な将来を描かせる必要性があるでしょう。

その能力でどんな仕事に就けるのか?

自身の能力を理解させた後、実際のその能力でどんな仕事があるのかを説明します。

実際に帰国後の実習生が就いている仕事は、通訳、日本語教師、実習生募集者、起業などが多いところです。

その仕事でいくら稼げるのか?

実習生の日本語教師であれば、4~6万円/月、送り出し機関で通訳をすれば、6万円~10万円/月が現実的なところです。

起業を希望する実習生もいますが、うまくいかない可能性も低くないので、失敗した場合にリカバリーできるだけの能力を備えておくように説明するのがいいでしょう。

希望金額を稼ぐ為に、どんな仕事に就くべきなのか?

もし、10万円/月稼ぎたい場合、N2 or N1を取って、通訳業に就くのが最もありえる道です。起業という選択肢もありますが、上記の通り、うまくいかない可能性・ランニングコスト等も考慮させることが必要です。

重要なのは、一方通行で説明するのではなく、当事者に考えさせることです。

将来のキャリアの入口は、仕事から入るのか、お金から入るのかで分かれますが、いずれの場合、必要な能力を理解させることが重要で、身の丈に合ったキャリアを描かせることが重要になります。


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