送出国および送出機関を変更(選定)するにあたり、誰かの紹介だけで新たな送出機関を決めると、後々大変なリスクを抱えることになりかねません。
必ず送出機関への視察を行うことはもちろんのこと、利害関係がない第3者の意見を聞くなどの調査を出来る限り行ってください。

では、どのような送出機関が良い送出機関なのか…ですが、その前に、貴監理団体は、“どのような監理団体でありたいのか”具体的なイメージをお持ちでしょうか?

例えば
・事業運営において最も重視すること
・他の監理団体と何が違うのか(差別化)
どのような技能実習生を顧客(実習実施者)に提供(斡旋)するのか
 日本語力(どのレベルでの入国を望むのか)
 必要なスキル
・受入職種の範囲は(地区・職種)   
いつまでにどの程度の規模を想定しているのか
・実習実施者が許容できる一人当たりのコスト
技能実習生が支払うコスト(SDGs、RBA…)

これらの目標を実現するには送出機関の選定は非常に重要となります。
では一般的には送出機関選定の際にどのようなチェックをされているか項目をいくつか挙げてみます。

チェック項目

1.代表者の考え方

・本当のオーナーか(グループ会社の雇われ社長ではないか)
・制度に対する知識レベル(現場や問題を把握できているか)
・背景&関係(どこで制度を学んだのか、悪質と言われるグループ出身ではないか)
・目標(拡大か、質のキープか)
・他社との差別化/仕掛け/取り組み(何のためにその取り組みをしているのか)

2.日本語教育

・複数の監理団体や複数の講習施設から定期的に「どの国の、どの送出機関から入国した技能実習生のレベルが高いか?」のか確認
・視察で得た情報だけではわからなければ、後日ZOOMで日本語教師と共に模擬面接を設定

3.対応力/情報収集力/政府とのコネ

・法律詳細について/政府機関の人事異動/特定技能手続き・・・等の質問を投げかけ、どれくらいのスピードで正確な返答をしてくるかを何度も実施
・同、送出機関と提携している監理団体から様々な対応力をヒアリング

4.書類部門

・日本語が出来る社員が何人いるか
・制度に対する知識レベル(技能実習/特定技能の法律をどれだけ理解しているか)
・社員1人あたり何組合を担当しているか

5.募集/面接

・どのような手段で募集しているのか
・1次面接や書類選考はどのような基準で行っているのか
・面接への応募(職種や企業の説明含む)はどのような流れになっているのか
・合格者への育成方法(やる気スイッチ/新たな取り組み/仕掛け)
・技能実習に問題ありとなった場合の対応(この人材はダメと監理団体に言えるか)

6.アフターフォロー ※日本側ではなく、現地側対応

・技能実習生のトラブルやモチベーション低下時にどのような対応をしているのか
・その他、現地側から技能実習生に対してどのようなフォローをしているのか

監理団体と送出機関はパートナーです。
一方的に監理団体(実習実施者)の目先の損得だけで無理な注文ばかり押し付けるばかりでは長期的に良好な関係構築は出来ません。
また、どれだけ良い送出機関と巡り合い、良好な関係を築けたとしても、実習実施者の選定が杜撰(ずさん)であれば、失踪につながります。
日本側-現地側が課題・問題を共有し、より良い制度となるよう日々努力が非常に重要です。

更に、国によっては一つの監理団体が提携出来る送出機関の数が限定されていたり(フィリピン)、送出機関との協定(契約)に公証・アポスティーユが必要な場合があります(インドネシア等)。
これまでお付き合いの無い国の送出機関から営業を受け、受入れ手続きを開始したものの母国語相談体制(通訳)が確保できない事例も散見されますので、安易にいくつもの送出機関と提携はせずに、自社の方針に寄り添い、対等な立場で、共に成長しあえるような送出機関と提携することをお勧めいたします。

※完璧な監理団体などないように、完璧な送出機関もありません。共に育ち成長していく姿勢が双方にあるかないか、その成長の速度なども加味し、共に歩める相手かどうかを確認し、共存共栄を図りましょう。

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