帰国希望

一時帰国を希望の場合、有給消化の「時季変更権」(就業規則)の規定に基づき、本人からの相談に対応しましょう。期間に関しては、技能実習計画の履行もありますし、他の日本人従業員の長期休暇との兼ね合いもありますので、10日前後、2週間前後が最長になるとも思いますが、このような状況を回避するために、有給を消化させないような雰囲気ではなく、閑散期にバランスよく有給を消化できる社内体制の構築が必要です。

完全帰国(途中帰国)の場合、帰国理由を聞き、途中帰国ではない解決方法の模索や、引き留め交渉を行いますが、どこかの時点で途中帰国の覚悟を日本側が決めることが良い判断となります。

本人が強く帰国希望をしている状況で、無理に引き留めた場合、精神状態が悪化する可能性もあります。また合法的に帰国できる状況であるにもかかわらず、日本側の交渉が難航した場合、「失踪」という行為に出る可能性もあります。

「失踪」の場合、警察への捜索願、技能実習機構への報告等、状況が一転、技能実習生の帰国問題から、監理団体・受入企業が追い込まれる状況に陥る可能性があります。

「去る者は追わず」

これが基本原則です。

該当人材の件は諦め、今後の再発防止のために、帰国に至った原因を分析する必要があります。

・送り出し機関の選定
・送り出し機関によるマッチングミス
・海外面接時の説明不足
・待遇改善
・社内雰囲気の状況
・人間関係

など、日本人が離職するのと同様、何かしらの不満があるからこそ最悪の選択を行いますので、そこの分析、改善策を講じなければ、今後も再発する可能性があります。

転職希望

技能実習制度においては、「転職」ができないことを指導するしかありません。この件に関しては、技能実習生の場合、如何なる技能実習生も送り出し機関において十分な指導を受けております。

送り出し機関は技能実習生1人派遣することによる「送り出し管理費」を監理団体より徴収しております。よって受入企業より技能実習生が途中帰国・失踪することは送り出し機関にとっても百害あって一利なしの状況ですので、指導を怠ることはありません。

特定技能の「転職」の場合、日本人同様、最後には引き留め工作が「無駄」であることは日本人であれば誰もが理解していると思います。これは外国人材も例外ではありません。

該当人材の転職は諦め、不足人員の確保、日本人を含めた従業員の長期定着化に向けて、転職原因を分析して、改善策を講じるしかありません。


 途中帰国は理由より期間のほうがトラブルとしては重くなります。
入国からの期間が短ければ短いほど企業側としては納得いかないものになるでしょう。
入国後3か月以内の帰国希望は、実習生本人の覚悟不足と送り出し機関及び監理団体の教育説明不足が原因です。
覚悟不足は時間と周りの支えが解決する場合がありますが、無理やり残留させようとすると精神的に不安定になったりすることもありますので注意が必要です。残留に納得したとしてもしばらくは細やかなフォローをしてあげましょう。説明教育不足の場合、中々納得することは難しい印象です。このようなことが起こらないように仕事内容に関しては面接時までにはきちんと説明しておくのがよいでしょう。

 会社を変わりたい場合も入国後3か月以内の場合は職種や仕事内容が自分の想像していたものと違う、こんなにきついと思わなかった等の実習生側の都合によるものと、雇用条件が違う、仕事の内容が説明を受けていたものと違う等の受入側の都合があります。
受入側の都合の場合は、起こってはいけないミスですので面接時からの対策をしておきましょう。実習生側の都合の場合は話し合いで理解を求めるしかありませんが、残りの実習期間が長ければ長いほどうまくいかない可能性が高いと思われます。
入職後しばらくたってからの会社転籍希望は転籍を希望する理由があるので、じっくり聞きだして解決しましょう。給与面、人間関係、パワハラセクハラ暴力等、実習生を守らなくてはいけない場合もありますのできちんと対応してあげましょう。

 多くの場合、基本的に実習生は精神的に子供です。知識はあるので頭でっかちな子供といっていいでしょう。帰国や転籍希望の3割程度は実習生のわがままです。残り7割は企業と実習生からじっくり話を聞けば解決策が見えてくることが多いので、どこかで線引きをして最後まで対応するようにしましょう。中途半端が一番いけません。

 帰国希望も会社異動も失踪の前段階ですので、ここで解決できるかどうか?でその後が決まるといっても過言ではありません。

どちらの場合もまずは、理由を確認しましょう。

原因としてはそれぞれ様々考えられますが、まずは相談されるだけありがたいということを認識しましょう。黙ってバックレる場合もありますので、まずは「聞く」姿勢が重要です。

①帰国したい

両親に帰ってこいと言われたから →東南アジアの場合、家族、特に両親が言うことは未だに絶対という家族観が大なり小なりあります。独身の場合、良い相手が見つかったからという理由で途中で帰ってこいという正直「おいおい…」ということが起こりえます。

配偶者に帰ってこいと言われたから  →母国に残った配偶者が浮気していた、寂しさに堪えられなくなった等、夫婦間の問題に起因しますが、離婚か継続かの二択になってしまうこともある為、子どもの有無・夫婦の関係性等、できる限り親身に相談に乗ってあげてください。

家族が重病、亡くなったから  →送り出し機関に事実確認の上、監理団体・実習実施者・実習生の三者で協議しましょう。近しい人が亡くなった、或いは、死期が近い場合等、精神衛生上、或いは、実習中の事故防止等の観点から、本帰国、或いは、一時帰国の選択が必要になります。

帰る帰るの一点張りから、〇ヶ月帰ってもいいかと軟化することも至極ありえる案件です。

稼げないから  →本気で帰るつもりなのか、給料交渉するつもりなのか、話を聞き、見極めること。実習実施者次第ですが、正規の手続きに則り、帰ると言うならどうぞお帰りくださいという対応も可能ですが、失踪には気を付けましょう。

②会社をかわりたい

・給料に不満がある
・上司に不満がある
・同僚(日本人)に不満がある
・同僚(技能実習生)に不満がある
・住居に不満がある

上記のどの理由であっても、放置すると失踪に直結します。まずは、理由をしっかり“聞く”姿勢を見せましょう。

「あ、聞いてくれない」「あ、無駄だ」と技能実習生が感じたら、ある日突然いなくなるでしょう。

人への不満の場合、配置を変えるのか、ラインを変えるのか。シフトをずらすのか等の対応が考えられますが、単に「厳しいから」「怒られるのが嫌だから」という子どものような理由で不満をぶつけてくる場合も往々にしてありますので、そうした場合は、社会人として考え方・働き方を説く必要があります。
 当然、実習実施者にできることできないことがあるので、落とし所を見つける努力は必要ですが、実習実施者の最終決定を誤解のないように技能実習生に伝えましょう。言うまでもなく通訳同席の上で。
 どんな不満であっても、口に出して伝えてくれるだけありがたいということをまずは理解しましょう。 間に入る監理団体の対応1つで失踪になるのか、平穏無事に継続からの3年満了になるのかが決まってしまいます。



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