「残業ありき」 この発想による技能実習生の募集・採用は行わない方が良いと思います。
「残業」は約束できるものではありません。また出社日により発生した残業時間の違いにより、受入企業内の技能実習生の収入にバラつきが発生し、不平不満の要因にもなります。

残業時間ありきの就労状況では、残業=悪のような発想となっている日本、労働基準監督署において、どのようなお咎めを受けるかも分かりません。技能実習機構に対する監査報告、実地検査においても何かしらの指摘を受ける可能性が発生します。

1.25倍以上の支払いが発生する残業、休日出勤によって受入企業が得するものは何か?

この理由が、技能実習生の募集が不利になるので無理矢理に…という要素が含まれている場合、実際には失踪・転職のリスクもより高まっていることを理解しなければいけません。

「それでは外国人材ですら集まらない」

この発想に至る場合、労働基準監督署、技能実習機構への対応、失踪、転職などのあらゆるリスクは覚悟した上での採用が必要となります。


まず、大前提として、国を問わず技能実習生が日本の労働基準法をしっかり理解していることはまずありません。(←日本人ですら100%理解している者はそう多くありません。)

それぞれ、「多く給料がもらえる」という認識しかしておらず、「夜働ければ残業代!!」という雑な認識をしていることが一般的です。

知識が0の者に対して、説明することを監理団体・実習実施者が強く認識しておくが重要です。次に、その認識の下。情報の非対称性が発生しないよう、提示すべき情報・法を漏れなく提示することが最も重要です。これを怠ると、入国後・配属後に「聞いていた話と違った。」「こんなの聞いていない」という齟齬が発生し、失踪等のトラブルへと繋がっていきます。

【説明時の注意事項】

  • 約束できない残業・休出は、「ある」ないし、「あるかもしれない」と言ってはいけません。
    • 技能実習生が自身にとって、都合の良い解釈をしてしまう恐れがあります。
  • 日曜日出勤≠休出
    • 技能実習生は日曜日=休日、日曜日出勤=休出であるという認識をしがちです。会社の規則と合わせて、「法定休日」の説明・理解を必ずしましょう。
  • 割増賃金
    • 渇望する技能実習生が多い“残業”ですが、何をどうしたら残業に該当するのか法を元にしっかり理解させましょう。

又、2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられますが、技能実習生も「多くもらえる、ラッキー!!」程度に知っている者も存在します。

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

但し、現状、日本は残業を減らす方向であること、又、監理団体は、『時間外労働時間が月間45時間を超えた場合(※1年単位の変形労働制を採用している企業は、42時間を超えた場合)は、外国人技能実習機構へ軽微変更届出書の提出が必要』となることも認識しておきましょう。


 技能実習生は日本人同様に労働基準法等に基づき労働を行います。
 技能実習生はお金に関して非常にシビアです。日本人的なサービスの考え方はありませんし、それは前時代的と言われるほど日本も労働環境は変わってきているのですが、残念ながら技能実習生の受入れ企業にはそんな時代の変化を理解していない企業がまだ存在します。
 実習生を雇用した場合、機構や労基が監査に入る可能性は高くなりますので、法令にのっとった賃金の支払いは必須であると肝に銘じておきましょう。
実習生の雇用契約書にも残業、休出、深夜の割増率は明記していますのでその通りに割増を行いましょう。
 もっとも簡単なのは、所定労働時間を超えた場合は25%以上の割増、休出の場合は同じく25%以上の割増、深夜の場合も25%以上の割増(割増時間+深夜の場合は50%以上の割増です。

 変形労働を組んでいる場合は割増適用範囲や休出も変わってきますので実習生に対する説明は非常に大変になります。
分かりやすい給与体系に変えてみることもいいと思います。


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