「整理整頓」「奇麗」という感覚は人によって違います。他人が見て整然としていない環境でも、本人は整理整頓ができている、使い勝手の良い環境と捉えている時もあります。

自身の部屋は、自身の城でもありますので、よほどの不衛生な環境ではない限り、本人に任せていると思います。しかし共有部分、浴室、トイレ、キッチン等の水回り、冷蔵庫内、ベランダ、空調清掃、換気扇等の清掃は入国前・入国後の講習で「5S教育」として指導を受けております。

よって宿舎内確認の際は、共有部分の状況は重点的に指導を行います。

最も良い指導方法は、技能実習生の受け入れ前、未使用時であった時の画像を宿舎内に掲示し、帰国時には原状回復で返却をしないと、損害賠償も発生することを示唆した資料を可視化しておくことです。この指導により、何が良い状態なのかを目で見て判断することができます。

問題は掃除道具・洗剤の購入費用の負担を共有できるかにあります。消耗した清掃用具、酷い汚れとなってしまった時は、100円前後の洗剤では汚れが落ちない場合もあります。良心的な企業の場合は、必ず本人達に実施させるために、清掃用具・洗剤を社内で購入する方々もいます。もしくは社内で購入した商品のレシートを渡し、本人達に実費請求をする場合もあります。

いずれにしても、清掃は実施するかしないかで結果は分かりやすく変わります。

頻繁に宿舎訪問を行い、改善不可能にならないよう指導を継続すること、清掃道具・洗剤の購入問題を解決し、時間を割いてでも目の前で改善に至るまで清掃をさせること、最終的に清掃業者を介入させて、本当に費用負担問題とならないような根気強い指導が受入企業、生活指導員には必要となります。


冷蔵庫

食べかけ、飲みかけの食べ物が長いこと放置されていることも多いです。食中毒等の健康被害にも繋がるので、食べ切る・飲み切る、消費期限切れのものはきちんと捨てるように指導しましょう。

部屋

布団の敷きっぱなしは割と多いので、毎日必ず畳ませ、定期的に日干しをさせるようにしましょう。掃除機を使ったことがない技能実習生も多いので、配属時に掃除機の使い方から指導しましょう。

キッチン

油や細かい生ごみをそのまま流してしまい、配管が詰まり、かなりの修理代がかかることがあります。三角コーナーの使用、油の処理方法等、YouTubeで母国語でも解説動画がupされているので、有効利用しましょう。コンロ周りの油汚れも毎回料理終わりに掃除をさせる、キッチンシート等を設置し、壁紙等が痛まないようにしましょう。

シャワー

シャンプーや石鹸、水垢の放置が多いです。季節によってはカビも発生しやすくなりますので、注意が必要です。

◆使用後にシャワーで浴室全体に冷水をかけたり、換気扇を回す等の対応が必要です

トイレ

サボったリング大発生がよく起こります。使用後に拭き掃除ができるようにシートを常備させましょう。
日本は汚さないように使いますが、外国では、汚れてから掃除すればいいという認識のところもあります。又、掃除に対する徹底具合にも差があり、日本の「拭き掃除」は“綺麗になるまで拭く”ですが、国によっては、結果に関わらず“拭く”だけで終わってしまうことも少なくありません。各所に綺麗な状態の写真を貼り、常時その状態に保つように繰り返し指導をしましょう。

抜き打ちで寮チェックに行く方法も効果的です。


清掃は国によって、個人によって頻度も完成形も違うものになります。実習生達には正解が分からない場合もあるので、一度日本人がこの状態をキープするよう正解を教えてあげることが必要です。頻度と担当を決めて実施する。そのあと日本人がチェックする事を繰り返していくと次第に
よくなっていく場合が多いです。あまりにひどい場合は日本人が先頭に立って大掃除をしてみましょう。こまめに寮を訪問し注意することを繰り返し行っていきましょう。


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