b3-1 事前ガイダンスにて触れた点の派生形について、いくつかフォーカスして、もう少し詳しく見ていきます。

(b3-1ページだけでは長編になってしまいますので、分けています)

受入先の就業規則や賃金規定、休暇や36協定や変形労働などについて

特に出稼ぎ意識が強く、稼ぎたい外国人の方は、入職後になって「残業をたくさんしたい…」、「深夜勤務に入りたい…」、「休日出勤がしたい…」など、自身の希望を訴えてくる場合があります。

残業は業務の全体最適、部分最適を加味した上で担当上司が指示しなくてはできないことと、法的かつ自社内のルールとして、制限があることなども説明しておくと良いでしょう。

(特に今の日本では労災防止のため長時間労働を強く制限しています)

一時帰国休暇(長期休暇)について

特定技能1号では5年間の就労が認められていますので、その間、途中で一時帰国を申し出てくる場合があります。また母国での身内の不幸など、長期休暇についてもこの時点で説明しておくことが望ましいです。

(ある地域の労基に確認した際、就業規則の休暇にきちんと記載があり、雇用条件書などで個別に定めを合意し、労使が問題なければ、日本人労働者との差別ではなく、外国人労働者固有の背景や諸事情に応じた区別として、外国人に限っての長期休暇対応は問題ないとのことでした。もちろん有休消化や欠勤対応なども合意の上であれば問題ありません)

離職について

入口で退職時のお話は好ましいとは思えませんが、簡単にであっても、しっかり説明しておくべきでしょう。
(例、退職の意思決定をした場合は一カ月以上前に申し出ること、退職金制度、帰国までの手続きに時間を要すること、転籍・転職の場合は現受入企業側の協力も必要であること、各種ルールや必要な手続きができないと離職後に困るのは自分であること、など)

元技能実習生に説明すべきこと

特定技能外国人の多くは、元技能実習生の方々です。この場合、技能実習時の特別待遇とも言える手厚い保護、支援内容と、特定技能の義務的支援内容とは、異なるポイントが多々あります。
(例、ケースによりますが…移動費の自己負担、転籍・転職の自由、雇用期間、住まいなどなど)

元技能実習生の方々は、当時の技能実習と同じ保護、支援があるものと思い込んで、更に給料が良くなる(であろう)特定技能に期待し、良い面しか見ていない場合がほとんどです。研修生的な立ち位置ではなく、純然たる分野のプロの労働者としての資格であり、自分自身で何事も解決していく自主性、自己意識、自己認識を持っていただく必要があります。(便宜上、支援は単に法的最低限や困難なケースに限るなどの説明の仕方、相談は乗るけど解決するのは自分…など)

残留継続にて在留資格変更の際のリスクについて

例えば、技能実習生→特定技能者となる場合、入管申請を行いますが、この際、外国人本人の意思決定が遅れるなどにより、申請が十分前もって手続きできない場合があります。その際、技能実習生としての在留期間満了後は、申請中に限り在留は認められますが、特定技能の在留資格が下りるまで就労することは不可となります。この辺り、様々なケースが想定されますので、関係各所と入念に事前に説明、調整が必要です。ご注意ください。

留学生→特定技能者のケースでも同様です。

※ミニ知識…上記は「資格変更」のケースにて、就労が始まり翌年の「期間更新」のケースになると、申請中で在留期限までに在留カードが手元に届かずとも、資格継続の就労は可能です。

他にもたくさん、色々な視点やケースに応じて、入職、就労の手続きを進めていくうえで、「事前に」「ガイダンスしておくべき」大切なポイントがあります。

適宜、ケーススタディを貯めて、独自のマニュアル化を進めていきましょう。

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