同室の技能実習生の間にトラブルが無いなど考えないで下さい。むしろ本当にトラブルが無い場合は奇跡です。夫婦でも元は他人であり、トラブルが発生するのに、海外面接で偶然知り合い、同じ受入企業に採用された関係だけの「他人」が、ひとつ屋根の下での生活を異国で開始して、トラブルが無いはずはありません。

食生活の違い、臭いの問題、就寝・起床時間、騒音、共同使用の家電製品の使用時間、共用部分の清掃、冷蔵庫の占有スペース、無許可での食材の使用…トラブルの原因は挙げればキリがありません。

まずトラブルが起きていても、監理団体・受入企業への相談、解決協力は問題ないが、実習時間(就労時間)におけるトラブル、コミュニケーション問題に発展しないよう、プロフェッショナルとして、職場ではその姿を微塵も見せないような振る舞い(演技)はするよう徹底指導しておきます。これにより、他の日本人従業員への迷惑、職場雰囲気を壊すことがないようにします。

その上で、トラブル者の間に入り仲裁に入ります。

原因が一方に偏っていない限り、原因を一方が認めない限り、仲裁する監理団体・受入企業が、どちらかが悪いと決めつけないことです。日本では「喧嘩両成敗」である発想を指導します。

お互いに反省・謝罪する部分は、同レベルで改善を誓わせる。その指導・改善内容を書面化し署名させます。仮に一方の帰国を求めるような罵り合いへと発展した場合、両者を技能実習に対する意欲の低下とし、両者帰国の判断を行うと宣告します。

安易な解決方法として、技能実習生側から求められた解決策に応じることは、監理団体・受入企業の姿勢として今後の監理に影響する場合がありますのでお勧めしません。

宿舎を変更して欲しい、作業現場を替えて欲しい。

一度認めれば、その他の事でも、この監理団体・受入企業はゴネれば言うことを聞くと足元を見るようになります。監理団体は該当の受入企業だけでなく、同じ送り出し機関から来日した、他の受入企業の技能実習生も騒ぎ出す場合がありますので、常に毅然とした対応を崩さない姿勢が重要となります。


 基本的に、相手に迷惑をかけない、相手を思いやる、協力する姿勢の大切さを諭していく必要がありますが、日本が「相手に迷惑をかけない」を重んじ る一方、外国では、「自分も迷惑をかけるのだから、相手の迷惑も許せ」という考え方が多いです。しかし、そうは言っても、相手からの迷惑に対して、全技能実習生が寛容というわけではなく、自分も迷惑をかけて生活していることを棚に上げ、相手ばかりに寛容性を求めるということもあります。
技能実習生を複数受け入れると大なり小なり確実にトラブルは発生しますし、これまで育ってきた背景が全く異なる他人が同居する以上、避けては通れないトラブルです。

【家事分担】

共同生活になる以上、助け合い・協力の精神を持たせることが必要です。国籍が同じであっても、出身地が異なるだけで料理の味付け等の好き嫌いが大きく異なります。曜日で料理担当を分けることもいいですが、分けた場合、「何かしらの理由でできなった場合にどうするか」も合わせて決めておきましょう。例えば、残業が長引いたり、体調が悪かったりした際に、相手ばかりの家事が増えてしまうと、不満へと繋がっていきます。

【生活時間】

就寝時間、起床時間、入浴時間等の違いからトラブルに繋がることもあります。例えば、寝ようとしているのにもう一方がスマホでゲームをしている、音楽を聴いている、早すぎる目覚まし時計、シャワーが長い等。

【生活音】

シフトの違い等から生活時間がずれる技能実習生もいる為、同居人が寝ているときに帰ってくる、同居人が寝ているときに出勤することもあり、ドアの開け閉め、足音等で自身の生活リズムを乱されてしまうことが起こりえます。シフトを合わせる、個室にする対応により、防ぐことが可能です。

【騒音】

スマホに依存している技能実習生は多く、ゲームに多くの時間を割いている技能実習生が目立ちます。各国、夜が遅く、22~23時まで自宅のカラオケ音や音楽が聞こえてくることが普通という育ち方をしている者もいますが、言うまでもなく、それを「うるさい」と感じる者もいます。“音”に対して相反する考え方の技能実習生が同居すれば、当然トラブルに発生します。

【配偶者・恋人・友人・知人の連れ込み】

共通の友人・知人であれば、一緒に食事する等で歓迎される場合もある一方、知らない人間を連れ込まれ、何ならこの時間外に行ってくれとなる場合もあります。社宅であれば、関係者以外立ち入り禁止とすることも可能ですが、通常の賃貸ではそれも難しいでしょう。

全てのトラブルにおいて、日本人の「常識の範囲」「相手に迷惑をかけないように」という指導は全くもって無意味です。そもそもの常識、そもそもの迷惑の定義が日本人とは大きく異なるからです。1回、2回の指導でどうこう改善するものではありません。可能なら、入国前から。集合講習時、配属時、定期監査時に細々と継続指導をしていくことが重要になります。

*入国前の寮規の説明・理解をさせることは可能ですが、送り出し機関の徹底具合や「なぜ禁止なのか」「なぜやってはいけないのか」まで噛み砕いて説明できるところは多くはありませんので、送り出し機関に依頼するのであれば、監理団体が定期的にチェックをする必要があります。


人間ですから、一緒に生活することは無理!となる場合もあります。台所や風呂トイレの共用は仕方ないとしても、うまくいかない場合は部屋を分けましょうこのトラブルは放置すると失踪につながりますので迅速な対応が必要です。


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