どれだけ懇切丁寧に説明しても、手取り足取り指導しても、それだけで完ぺきにできるようになれる人間であれば苦労はしませんし、自身を振り返ってみても、できずに困った経験が多くあることに気づけたとしたら、やはり、どのポイントを、どのように説明すると、届くのか響くのかを考えるようになります。(手段の問題)

※案件が増えていくと、自身のみならず、自分の力不足のせいで外国人の若者達や受入先に不可逆的かつ多大な迷惑をかけたケースが増えて、親身になる方がほとんどです。歴史と先輩の恥に学び、同様の失敗を繰り返さずに済むことを願います。

伝え方にも工夫を凝らし、事例などふんだんに上げながら、「生活オリエンテーション」のせっかくの時間を、有意義に効果的なものにしていきましょう。

ポイントの数々

基本的な説明としては入管法と労働法関係の説明があります。
基本的なことなので、必ず説明をしておきましょう。

入管法の説明
 支援する外国人が所持している在留資格「特定技能」とはどんな在留資格なのかを説明。(通算5年の考え方など)
 資格外活動とはどんなことを言うのかを説明
 在留資格の更新についての説明
 一時帰国について説明
 退職した際に在留についての説明

労働基準法の説明
労基法の説明に関しては、雇用条件書を再度確認する形で説明をすると良いと思います。
 就業時間と時間外労働について説明
 各種割増賃金について説明
 有給休暇についての説明(一時帰国の際のルール決めなどもこの時点での説明が有効です)
 健康診断について説明(ドクターストップもあることを伝えましょう…日々に健康管理に気を配るようになったり、その理由での就労継続不可の判断が出てしまった場合、従わざるを得なくなります)
 賃金の支払と時期について説明(賞与などもここで説明すべきです)

安全衛生法の説明
入社前の安全衛生教育だったり、たくさんの残業を求めても長時間労働など制限されていたり、有給休暇の一定以上の消化日数が定められていたりと、労働災害を回避するためのルールがたくさんあることを説明しましょう。
 入社前安全衛生教育(必要に応じた特別講習、特別教育、資格取得教育なども)
 労働日数、労働時間数などの法的制限
 機械、器工具などの保護具、道具、それらの注意や使い方
 健康診断(深夜勤務や不規則なシフト制がある場合は半年に一度や産業医によるヒヤリングケア、従事する業務によっては特定健診なども)
 有休管理簿について

他に問題となることが予想されるトラブルは、以下に代表的なものがあります。
最低でも以下の内容の説明はしておいた方が良いと思います。

 労働問題
労働条件に関しては、労働条件を雇用条件書に従って詳しく説明をしておきましょう。
また、疑義が生じた際には、まず支援担当者に相談することを指導しましょう。

 在留資格
在留資格の更新は、在留期限が切れるまでに申請をすれば、新しい在留カードが届かなくても仕事ができるが、転職などによって在留資格の変更申請をする場合は、従前の在留資格の効力が無くなってから、新しい在留資格の許可が降りるまでの間は仕事ができない旨を説明しておきましょう。その間に仕事をした場合は不法就労になってしまいます。

 健康管理
お酒や煙草などは控えめにすることや、睡眠不足にならないようにするなど、規則正しい生活をするよう指導しましょう。
規則正しい生活をしないことによるリスクを説明することも大切です。
ゲームのやりすぎで睡眠不足により労働災害が起きたなど、当事者意識に触れるように説明すると良いでしょう。

 住宅問題
よくあるトラブルが騒音問題とゴミ出しルールを守らないことです。
大人数で宿舎(寮)に集まったり、カラオケをしたりしないよう指導しましょう。
ゴミ出しに関しても、支援担当者はルールを確認し、外国人へしっかりと指導をしましょう。

 生活費と経済的問題
給与の使い道、生活費と余力資金を外国人がしっかりと把握できているか確認しましょう。
ギャンブルは、公のものに関しては無理に止めることはできませんが、ギャンブル依存症の怖さを実例などを上げて教えてあげましょう。

外国人で良くあるのが、お金の貸し借りの問題。
これは絶対にしないように指導しましょう。

 人間関係
人間関係に関しては、特に職場での人間関係が大事になります。
日本人との良好な人間関係を気付くには、日本語の学習が大事になってきます。
また、日本人と良好な人間関係を保つためには積極的な日本人との接触がポイントであり、それが日本語上達のポイントでもあることを指導しましょう。
※同期や同僚の外国人同士でのトラブルもよくありますので、仲良くするよう、ケンカは双方にデメリットがあるコトなど理解できるように説明しておきましょう。

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