各監理団体、各実習実施者にとって、「良い」「悪い」の定義は異なります。以下の内容を元に自身の中で“モノサシ”を持つことをオススメします。

①代表者の経営方針

各国にとっての技能実習制度は「海外労働者派遣」であって、“実習”であるという意識は非常に希薄です。その中にあって、一人送っていくらという意識が強いのか、或いは、いい人材を教育し育てる意識が強いのかを確認することは非常に重要です。前者が強い場合、技能実習生の質の担保に対する意識が薄く、入国後にトラブルが起こる可能性が高いです。

②自社で海外労働者派遣のライセンスを有しているか否か(各国政府に認められた送り出し機関か否か)

自社でライセンスを持っていない、或いは、政府に認められていない機関の場合(この時点で既に法的に怪しいです。)、ライセンスを有している送り出し機関に行政への申請書類を有償で委託します。これにかかる費用は技能実習生に転嫁される場合が多く、余計な費用負担が発生します。更に、ライセンスを有していない時点でコンプライアンスの意識はなく、こうした業者を介して入国してくる技能実習生の質には不安しかありません。

視察時に、看板がない、名刺の機関名がOTITの認定リストにない等はライセンスを持っていない機関ですので、要注意です。送り出し国によっては、管轄官庁のHPでも送り出し機関を確認できるので、確認可能です。

③コンプライアンス

採用面接を得るが為に、送り出し管理費不要、講習委託費不要、キックバック有り、採用面接渡航時の渡航費・滞在費送り出し機関負担等という提案をしてくる送り出し機関があります。これにかかる費用は、一部全部が技能実習生の費用に転嫁されます。

失踪に代表されるトラブルを避ける為にも、送り出し機関にコンプライアンスを求めるのは当然であり、反対に、コンプライアンスを遵守している送り出し機関からは監理団体・実習実施者に対しても同様の遵守を要求します。

④“No”と言えるかどうか

職種や給料によって、送り出し国の中には、既に人材募集が不可能なものが存在します。監理団体からの問い合わせ時点で、「募集ができない」或いは「条件の再考」という反応ができるか否かが非常に重要です。送り出し機関は国を問わず、新型コロナウイルスの影響を受けていた為、喉から手が出るほど採用面接を欲しがっている送り出し機関が増えています。そうした状況下にあっても、できること・できないことをはっきり回答できるかどうかの確認は必須です。

⑤教育体制

技能実習生=人材育成であるという意識を持っている送り出し機関であれば、日本語教育に対して、それなりの体制を整えています。

別項にも記載がありますが、すし詰めの教室、日本語が拙い現地人教師、客寄せパンダ的日本人教師等、明らかに教育に力を入れていないと判断できるポイントは押させておきましょう。

最も重要なことは、監理団体が送り出し機関を選ぶ立場にいる一方で、自身も送り出し機関に選ばれる立場にいるという自覚を持つことです。

良い送り出し機関は顧客(監理団体・実習実施者)を選びます。

良い監理団体・良い実習実施者であると判断されなければ、良い送り出し機関と取引に至ることはないでしょう。