それは、外国の若者の人生を大きく狂わせてしまうリスクを、抱えていること。何をそんな大げさなとお思いかもしれませんが、コレは決して他人事ではありません。
 ある工場で、フィリピン人が死にました。この原因は、働きすぎかつ労務環境のケアが十分ではなく、吸い込み続けると体に悪影響を与える職場で働き続けた結果です。母国の家族が泣き崩れ、意味が理解できていない幼子がとても不憫で印象的でした。
 海でベトナム人が亡くなりました。多額の借金を抱えて、日本へ高度な技術が学べるとして期待を胸に来日しましたが、実際には単純作業と、想像以下の低賃金。3年頑張り仕送り返済をしても追いつかないし、そもそも当初の思惑と違過ぎる。このままでは支えてくれた親に顔向けできないとして、失踪し、高賃金先を求め、不法就労先で海の漁の手伝いをし、転覆の末、溺死という結末でした。家族はもちろん、同じ気持ちを抱えて来日していた友人もやるせなさを隠しきれません。
 大変残念ながら、他にも今までこういったニュースが、少なくはない黒歴史がある業界です。やはりこの制度上では、実習生一人一人が、最弱者であるがゆえ、結果、直接被害を被るケースがあります。
 自身が関わった実習生は、直接、間接を問わず、死に至らずとも、不幸になる結末を誰もが迎えたいとは思わないコトでしょう。しかし、この引き金を引いてしまうリスクが、この仕事にはついて回ります。もし、現場担当者が、受入企業(実習実施機関)の受け入れ態勢が不十分であることを確認できていなかったなら、もし、事務担当者が、在留資格変更や技能検定手続きなどを失念してしまっていたら、一つ一つのミスが、人一人の人生を、変えてしまうコトがありうる仕事です。

『風が吹けば桶屋が儲かる。』

 コレは、『監理団体がちゃんと仕事をせねば実習生が死ぬ』こともあるって意味です。自分にとっては日常のルーティン業務の一つかもしれませんが、そのミスが、とんでもない事態を巻き起こすリスクを抱えている。だからこそ、組織としては、それらのミスを発生させない、一人に背負わさせない仕組みづくりが求められますが、これは組織のせいにせずとも、自分次第で防げることでもあります。
 組織のせいにしてもキリがありませんので、自分が嫌な思いをしたくない、責任を負わずに済むのは、どこまでも自分次第だと、最初から意識して取り組むと、成長も早いと思われます。


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