外国人材にとって、異国の地で新たな就業先を見つけることは容易なことではありません。よって義務的支援として、所属する分野別協議会、ハローワーク、求人媒体、友人関係など、ありとあらゆる手段を利用しても、新たな受入先の情報を入手し提供するだけでなく、案内、同行と再雇用される支援を行わなければいけません。

また特定技能外国人材が希望する条件、技能水準、日本語能力等を踏まえ、適切な職業相談・職業紹介が受けられるよう推薦状を作成する必要があります。

更に求職活動を行うための有給休暇の付与や、失業時の雇用保険の受給手続きの支援などを行い、新たな受入先が見つかるまで、生活に困らない支援を行う必要があります(雇用保険:所定給付日数90日)

特定技能所属機関(受入企業)の都合による離職で転職支援を行った場合は、支援実施状況に関する定期届出(随時届出)に支援内容を記載しなければいけません。

受入側の都合により雇用契約を解除した場合、その後1年間は新規に特定技能外国人を受け入れることができなくなります(在籍中の他の特定技能外国人も在留期間更新申請が許可されなくなります)

受入先側の都合での解雇となると、よくて30日間前の事前通知があった時点で初めて発覚し、登録支援機関や特定技能外国人が急転直下、慌てることとなります。要は時間がありません。

注:職業紹介グレーゾーン

登録支援機関の中でも、職業紹介事業の許可を得ていない先では、職業紹介斡旋行為は、法的に禁止されています(刑事罰まであります)。よって、支援は必須ですが、職業紹介行為はできません。
この線引きをしっかりと認識して、支援に取り組みましょう。

※監理団体であっても、技能実習制度事業内において、職業紹介行為は許容されていますが、制度外となる特定技能制度においては、同様に職業紹介事業の許可を得ていない限り、法令違反となります。

以下、順番を追って手順を列記してみます。

1.特定技能外国人の意思確認…就労継続の可能性を探るか、帰国するか。
  →前者がほとんどです。

2.次の就労先を探す手段を一つ一つ確認していく。
  ・ハローワーク…求職登録し、特に同分野にて外国人歓迎先を探し、一つ一つ問い合わせていくしかありません。
  ・分野別協議会…建設分野のJACであればまだしも、まず個別に親身に対応はしてくれませんが、問い合わせ、相談したという事実は重要です。万が一にも受入候補先があるかもしれませんので、確認しましょう。
  ・解雇する特定技能所属機関による別の同業他社への推薦、斡旋…コチラもダメ元でも対応しましょう。
  ・特定技能外国人専門の職業紹介事業者への相談…全国規模で特定技能外国人を集めて紹介斡旋している事業者もあります。
  ★上記、全て実施した記録を書面で残しておきましょう。1年経過後、業績回復などにて再度受入を再開する際の有効な選択肢となる受入先資格の確保のためにも。

3.推薦状…様式はありませんが、いつからいつまで就労し、勤務態度は良好だったか、能力は高かったかなど、会社として評価し、立証記録として、書面で準備し、受入先は早々に発行しましょう。

期限までに見つかった場合

・転籍、転職先がスムーズに手続きができるよう、求められる書面などはしっかり準備、手配し、対応しましょう。
・引っ越しなどの支援も同様に必要です。
・電気ガス水道、インターネット代なども、最後の給与と共に、清算しましょう。
・終わったら、14日以内に随時届出の入管提出をお忘れなく。

期限までに見つからなかった場合

帰国か、就職活動のための延長滞在か…

基本的には「帰国」を促しましょう。

本人が抱える諸事情や希望はあっても、次の受入先が見つからない事には、まずもって在留中の住まいや生活費を賄い続けるコトは実質大変困難となります。

当然、解雇した受入先が用意していた住まいにも、ずっと滞在させてもらえなくなるケースがほとんどですので、極論、住まいもなくなります。

どうせなら、いったん帰国し、次のチャンスを探し求める方が現実的な場合が多いと思われます。

※残念ながら失踪した場合は、必ず警察に届出を出しましょう。また特定技能制度も「帰国するまで」が支援義務を負います。つまり、失踪後に所在発覚し、警察からの引き受け依頼があった場合は、「もう関係ない…」と突っ張ることが難しい状況になります。関わったからには、最後まで責任もってお世話しましょう。それが受け入れた先の企業の、そして登録支援機関の責務であり、奴隷商売、人身売買業ではない証の一つと言えます。

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