中央会を通す場合も、直接行政庁に持ち込む場合も協同組合設立にかかる基本的な書類は下記の通りです

【必要書類一覧】
中小企業等協同組合設立認可申請書
設立趣意書
定款
事業計画書(初年度および次年度分)
資金計画書(初年度および次年度分)
収支予算書(初年度および次年度分)
誓約書
設立同意者名簿
創立総会議事録
理事会議事録
役員名簿
設立同意書及び出資引受書
理事及び監事の就任承諾書
委任状(発起人代表を定めた場合)
発起人全員の印鑑証明書
その他行政庁が必要とする書類(※1)

(※1 建設業や農業、介護業など許認可が必要な業を営む企業が発起人となる場合は、その許可証を追加確認されます。

ただし、例えば建設業で500万円以下の工事しかしておらず建設業の許可を取得していない場合等は、その他の書類等にて実態が確認されます)

申請書類で最も重要なのは、設立趣意書・事業計画・収支予算です。

管轄官庁は申請内容に対して“何のために協同組合を設立するのか/新たに協同組合を設立する必要があるのか(近隣の他の協同組合の事業や民間のサービスを利用すればよいのでは?)/申請書の内容が論理的に整合しているか”等の視点で審査されます。

例えば、建設業や製造業の異業種企業が共同購買事業を主たる事業として設立申請した場合は、共通する資材が制服や事務用品等に限られるため、わざわざ協同組合を設立して共同購買をする必要がなく、アスクルやモノタロウ等の民間サービスで事足りるのでは?と撥ねられる場合があります。

(上記4.1.1.1にて同一業種での発起人が望ましいとしたのはこの点にあります)

続いて収支予算についてですが、技能実習制度においては利益を計上することは出来ません。

よって、組合運営にかかる支出は、賦課金(組合における会費のようなもの)または主たる事業で得た収益により賄う計画を作成しなければなりません。

一方で協同組合設立初年度中は技能実習事業の収益がほとんど発生しないため、初年度の計画においては主たる事業の規模を大きくするか、賦課金の額をあげることとなります(賦課金は組合員から一律で徴収するものですので、一部の組合員からのみ徴収することが出来ません)。

次に協同組合設立の手順についてですが、大きな流れは下記の通りとなります。

【組合設立の手順】
設立発起人の選定(4人以上)
発起人会の開催(趣旨、目的、定款等の計画立案)
設立説明会の開催(発起人・同意者・中央会)
ヒアリング(中央会・所管行政庁)
創立総会議案作成/創立総会開催公告(2週間)
創立総会(議案の承認)
認可申請書類の作成
所管行政庁へ認可申請
設立認可
事務引継ぎ(発起人→理事)
出資払込
設立登記(組合成立)
関係機関等へ設立届
(中央会加入)
事業開始

先述の通り、管轄官庁によっては各都道府県中央会による事前審査を求めてくる場合があります。

この場合は中央会および管轄官庁による複数回のヒアリングが実施されることとなります。

都道府県によっては、ヒアリング時に発起人以外の第3者の同席を禁じられる場合があります(地域によっては行政書士等の同席も不可)。

よって、発起人は全員きちんと設立趣意や事業計画・収支予算の内容を把握しておく必要があります。