「理解しない」場合は、言葉の問題もあります。
「理解しても従わない」場合は、悪質な問題です。
理解しない場合は、理解するまで日本人以上に丁寧に指導を行い、従わない場合は、従わない理由を聞く。そこに企業の生産活動に対し、合理的なアイデアが含まれていることもあります。
従わない理由が、「実習意欲の低下」にあると感じた場合、受入企業は監理団体に即報告・相談をしましょう。監理団体は実習意欲に至った原因究明のために、通訳を帯同し、臨時監査を行いましょう。受入企業側の問題か、本人の問題かを判断し、外国人材側に問題がある場合、今後の身の振り方について本人の希望を聞きます。
本人自身もパフォーマンスを改善できるか、実習継続を断念し途中帰国するか。ここで「失踪」の可能性も出ますが、四六時中監視できるわけではありませんので、そのような選択を行わないよう、本人の精神状態を刺激することなく、寄り添う姿勢を示し、強制とはならない自主退職・途中帰国での方法を模索しましょう。
このような問題が発生した監理団体の日頃の訪問指導・相談体制の構築内容、受入企業の社風、送り出し機関の選定、採用時の判断など猛省を行い、再発防止に努めて下さい。
まず、指示命令を理解しない原因を考えましょう。
【日本語】
特に入国当初の技能実習生の日本語能力は話す・聞く共に高くありません。母国で日本人が話す生の日本語を聴いたことがない、外国人教師の話すゆっくりで簡単な日本語しか聴いたことがない技能実習生も多いです。
◆技能実習生の日本語能力が極端に低い
まずは、仕事で使う単語・文型から教え込んでいきましょう。日々宿題を出し、日々チェック・コメントを続けていくことで徐々に改善が見えるようになります。
技能実習生も日本語が下手なままでいいと考えている者は多くなく、日本語能力によって、残業の多寡に影響するような実害があれば、勉強に対する意欲は高まります。或いは、JLPT等の試験合格に伴う昇給や一時金ボーナス等の支給というニンジンをぶら下げる方法も効果的です。
年齢によっては、長く机に向かって勉強という習慣から離れている技能実習生もいますので、日々の課題なので、習慣付けから始める必要があります。
◆指導員の話す日本語が難解過ぎる
特に入国初期の技能実習生と話すときには、話す側が語彙・文法のコントールをしましょう。対日本人のつもりで話しても、100%を理解することは絶対にありません。
文化庁や各地方自治体が「やさしい日本語」についてのリーフレットを出していますので、参考にしてください。
愛知県【「やさしい日本語」の手引き~外国人に伝わる日本語~】
【技能実習生が聞き取りにくいポイント】
①一文が長い
②速い
③漢語が多い(例:休日、朝食、休憩etc)
④方言
⑤オノマトペ
⑥二重否定(例:~ないことはない)
あまり難しく考えず、「短文、単文、ゆっくり」を心がけると技能実習生が理解しやすい文を作ることができます。
入国当初の技能実習生の日本語能力は小学生と大差ありません。
「どんな日本語がわかるのか⁇」という気遣いがコミュニケーションを取りやすくするコツです。
【理解しても従わない】
技能実習生に日本語で聞いても的確な回答を得られない可能性が高いので、監理団体経由で通訳を介して確認することがいいでしょう。
母国での経験者を採用した場合、母国でそれまでやってきたやり方・方法が一番だと考えている可能性があります。
又、安全に対する意識も非常に乖離が大きい為、母校のやり方をそのまま持ち込んでしまうことを放置していると、労働災害にも繋がりかねません。
更に、国によっては、指示に対して「理由」を求めたがるところがあります。
なぜそうしなければならないか、なぜこうしてはならないのかを理解させる必要があります。
日本のやり方、実習実施者のやり方に従うこと、そして従わなければならない理由を母国語を交えて説明し、理解させることが重要です。
監理団体の通訳、場合によっては、送り出し機関に通訳を依頼することもアリです。
指示命令を理解しない、理解しても従わない
これは日本語の理解不足とコミュニケーション不足が原因です。
実習生達は分かっていなくてもいい返事をします。そう教えられているからです。
本当に理解しているのか?について指導員がきちんと確認をする必要があり、日本人指導員の実習生を扱う技能のスキルアップが必須です。
指示をして、それについての確認をして、理解していなければ繰り返し指導する、「分かった?」「はい」「じゃあやって!」ではなく間に「じゃあ今指示した内容を教えて」と」確認を一回入れるだけでミスは格段に減ります。
日本語の理解を上げるためにはとにかく会話です。実習生の中には内気な性格でなかなか積極的に話かけることができない子もいますので日本人側から積極的に話しかけてあげることが大事です。
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