ほぼ全ての技能実習生が送金を行います。来日の目的が母国の家族を支えるためにありますので当然です。海外送金を行わなくても良い家庭環境の人材を、「技能実習」という在留資格で入国をさせる点については一抹の不安があります(理想と違った就労環境の場合、安易に途中帰国を判断する可能性があります)

海外送金の平均額は5万円以上。それぞれの家庭状況に応じて金額は異なりますが、日本での生活を極限まで節約し、送金を行う技能実習生もいます。

しかし、その状況を「可哀想」と考える必要はありません。他の技能実習生も同じ就労条件の中、各々努力をしています。自身と家族で協議して決断した他国での就労。温かく見守る必要はありますが、過度な心配も、余計なお節介を焼く必要はありません。

送金は日本円を母国との為替レートで換金された状態で家族が受け取ります。「円高」という状況では、家族の手取り総額が増え、「円安」という状況では、手取り総額が減少します。

この為替レートの変動に関しても、監理団体・受入企業では手も足も出ません。

「円安」の状況に対し、技能実習生に特別手当を支給するば、どの状況を「円高」と判断し、支給を停止する約束とするのか、手当が停止する状況に不平不満を漏らすのであれば、如何なる状況においても温情を見せるべきでは無かったと後悔する場合もあります。

このような送金を含めたお金の「使途」に関しては、監理団体の相談体制の構築、訪問指導時の質疑応答で、適切な距離間を保った状況での監理のコツにもなります。


地下銀行の存在。これまで中国・ベトナム・ミャンマーで地下銀行の運営で摘発された事例がありますが、地下銀行を使用している実習生は少なからず存在します。Facebook等のSNSを開けば、結構な頻度で見かけることもあります。

よくあるやり取りとしては、在日技能実習生が日本で指定された口座に円を入金→業者或いは個人が現地の指定口座に現地通貨で入金。最も問題なのが、地下銀行が違法であることを技能実習生が全く認識しておらず、単に便利なサービスという認識でいることです。そして、技能実習生が地下銀行を使う理由としては、「速い・安い・簡単」が挙げられます。当然、送金履歴が残らない為、扶養控除を受けられず、年末調整を行うこともできません。技能実習生は、一般的に戸籍簿、或いは、それに準ずる書類を持って日本へ入国してきますが、その書類が一体何の為のものなのかしっかり把握しているものは多くありません。又、令和5年1月から、扶養控除の対象範囲が変更されることになりました。技能実習生からすると、いちいち法の細かい把握はしていない為、益々地下銀行の使用に拍車がかかる可能性もあります。

令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)

地下銀行は、不法滞在者や犯罪グループにも使用される為、地下銀行と関わりを持っていると、“良くない存在”との繋がりが生まれてしますリスクも増加します。

監理団体・実習実施者は、技能実習生に対して、送金方法のレクチャー、地下銀行を使用することによるデメリットやリスク、扶養控除・年末調整の中身をきちんと説明するようにしましょう。


多くの実習生は給与の中から家族に送金をします。

令和5年から家族を実習生の扶養に入れている場合、その扶養した個人各人に対して送金をし、その記録を残しておかないと扶養と認められないため注意が必要です。

非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ(国税庁)

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