金銭的な被害を抑えるためには、紛失、破損時の損害賠償の請求を帰国後まで適用すると母国語併記の誓約書に記載し、徹底追及する姿勢を見せる必要があります。

また受け入れ開始時に受入企業側が用意した生活用品のリストが明確でない場合、どの生活用品が受入企業側で、どの生活用品が本人購入品禍の区別がつかなくなります(特に長年に渡り、複数の技能実習生が継続使用している物件の場合)

昨今でも多いのが、受入企業側が用意した小型炊飯器を持参帰国しようとする。荷物確認を行った際、外部流出が許可されていない企業の作業着を記念品として持ち帰ろうとする状況もあります。

また紛失だけでなく「遺留品」の確認も重要な作業となります。

引き続き利用する技能実習生に有用な生活用品を慰留することは歓迎なのですが、破損したスーツケースの放置、後輩技能実習生が使用しないような筋力トレーニング機器、処分にも費用が発生するような品々から、動植物飼育の引継ぎ、微妙に余った食材を巡り、帰国する技能実習生が後輩に対し売りつける行為など、日本人が知らない部分でトラブルに発展している場合も多々あります。

宿舎は技能実習生の場合、1人暮らしはお勧めしません。

確かに1人の場合、プライバシーが保たれ良いことが想像できる部分もありますが、受入企業負担も大きく、緊急事態に連絡が行き届かない場合もありますので、2DK以上の宿舎で「2人暮らし」がお勧めです。

技能実習機構からも鍵のかかる貴重品ボックスの設置、消火器の設置なども指導を受けますが、各々の部屋自体が施錠できる環境が望ましいです。

この場合、盗難は防げますが、夏冬の冷暖房機器を各々の部屋に設置するかの投資費用の問題もありますので、在宅時はドアを開閉し共有する指導なども必要です。

また宿舎の部屋割りに関し、監理団体や受入企業側が決める場合もありますが、コミュニケーショントラブルを避けるため、複数の在籍者がいる場合は、本人達に決めさえることをお勧めします。同じ地方、習慣が近い人材、喫煙者同士、年齢的な序列関係など自分達で考慮して最善な組み合わせを判断すると思います。


①下着泥棒

女性技能実習生を受け入れている場合、下着泥棒に気を付けさせましょう。送り出し各国には、日本のような下着泥棒が発生することが少なく、又、日本人から見ると、「え、そんな恰好で…⁇」という技能実習生もいます。そうした格好は“変態”を呼び寄せる可能性が高くなります。
*送り出し各国で“変態Hentai”の知名度は高いです。

・下着を屋外に干さない
・男性物の下着等を一緒に干させる

②技能実習生同士の盗難事件

まず、実習実施者は技能実習生の寮に鍵付きロッカーを設置する必要があり、監理団体にはそれを指導する義務があります。外国人技能実習機構の監査時にチェックされるポイントでもありますので、実際、実習生がきちんと使っているかはおいておいて、まずは「設置」しましょう。

「●●がなくなった!!」という技能実習生からの訴えが起こります。●●は大抵の場合、日用品、或いは、お金であることが多いです。

日用品の場合、同居技能実習生が勝手に使ったり、勝手に持って行ったりして元に戻していない場合がほとんどですので、同居技能実習生に確認すると同時に自分の物の管理は自分でやりきらないといけないことを再度教育しましょう。

金品の場合、なくなったと主張する技能実習生は「こいつが盗った」「あいつが怪しい」という主張をしてきますが、室内に監視カメラがない以上、警察に連絡し、指紋採取をして調査してもらうしか完全に解決する方法はありません。

そして、鍵付きロッカーを設置してあれば、事情を聴いた上で、今後の話として「なぜ使っていなかったのか⁇」という注意・指導が可能になります。仮に、設置もしておらず、自己責任で一方的に話を片付けてしまうと、技能実習生の不満がOTITへの通報等へ繋がってしまいます。

実例①:自転車盗難

寮の自転車置き場に停めてあった会社から貸与された自転車が夜のうちに盗難に遭う。日頃から鍵をかけていなかった為に起こったものと考えられる。責任の所在としては、技能実習生にあり、技能実習生の自己負担で弁償(再購入)でも問題なかったが、誓約書という形で一筆を取り、今回のみ実習実施者から再貸与という形に落ち着いた。(技能実習生負担無し)
→実習実施者の好意で片付いた形だが、監理団体としては、本来、自己負担で弁償事案であることをきちんと理解させる必要がある。技能実習生の中には、大なり小なり「やってもらって当たり前」という意識でいる者もいる為、対応に注意が必要。

実例②:金品盗難

母国から持ってきた金の指輪、現金12,000円がなくなったとの訴えがあった。鍵付きロッカーは設置してあったが、日常的に使用はしていなかった。
被害に遭った技能実習生の希望に沿い、警察を呼び、指紋採取等を行ったが、犯人はわからずじまい。指紋が出なかった以上、自己紛失という形になったが、本人がおさまらず、「泥棒と一緒には住みたくない」という話から数週間後に失踪した。
→監理団体としては、寮を分ける等の対応を実習実施者に打診する方法もあったが、めんどくささから実習実施者には特に提案はしておらず、失踪という結果に至った。自分に置き換えても、盗ったかもしれない人間と同居を継続するのは精神衛生上、いいとは言えない為、警察を呼んだ後のもう一手が必要。


共同生活を送る場合、どこの国でも問題になりえることですが、結論としては本人が自分で管理をしてください。そのために鍵付きの貴重品入れが寮に備わっていることをしっかり説明しておくことです。個人部屋にして部屋自体に鍵を付けておくことも有効です。


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