「年次有給休暇」は、日本人同様、技能実習生にも適用されます。法定の年次有給休暇が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることも必要です。

就業規則に「使用者により次期指定」を記載して労働者の理解を得られている場合、相談・交渉は可能ですが、聴取した意見を尊重し、取得させないという結論はありません。

有給休暇の買い取りは、違法ではありませんが、買い取りを前提とするような方法は許されておりません。

技能実習生の有給消化を制限し、最終月に全て消化し、技能実習計画を履行できていない状況が発覚する、一時帰国に全て消化し、1ヶ月以上の長期休暇となり、技能実習計画が履行できていないと指摘を受ける、日本人従業員からも不満が出るような状況を回避しなければなりません。

経営者も目先の労働ばかりを考え、技能実習生を含めた計画的な有給消化に配慮できないことは外国人技能実習制度に関わらず“失格”です。

このレベルの経営者がいる企業に技能実習生派遣で関わる監理団体も覚悟が必要です。

技能実習計画の申請審査、在留資格認定証明書の審査には暗黙の了解で、監理団体・受入企業のランク付けのようなものがあります。双方「Aランク」の場合は、内容確認もソコソコに印鑑をついて終わり、Bランク以下になれば、重箱の隅を突いたような審査が始まります。

技能実習法の理解の前に労働関係法令すら理解できないような受入企業を抱えた場合、巻き込み事故に遭う可能性も視野に入れないと、監理団体の場合「全滅」、全く関係の無い企業にまで「飛び火」する可能性があります。


まず、大前提として、年5日の取得は義務です。実習実施者に罰則がありますので、確実に取得させましょう。

2019年4月から、全ての使用者に対して「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられます。

外国人技能実習機構の監査時にもチェックされる代表的な項目ですので、要注意です。
又、帰国前にトラブルになりがちな有給休暇。
実習生からの要求で多いものとしては、「退職時に余っている有給休暇を買い取ってほしい」というものでしょう。
実習実施者の就業規則次第ですが、『退職時に日数の消化が間に合わない』、且つ、技能実習生と協議の上、同意が得られれば、買取が可能です。

但し、

・企業側は買い取らないという選択をして従業員からの申請を拒否しても問題ありません。
・技能実習生が未消化の日数分の付与を望んだ場合、拒否できません。
・企業側から買取を要求することは違法です
・技能実習生の退職が決定していても、有給休暇取得中は在職しているので、社会保険料を負担しなければなりません。

在留資格の期限の問題がありますので、実習終了日と有給休暇の残日数を鑑み、技能実習生と早めに相談をし、処理の仕方を決めておくほうが安全でしょう。後で言った言わないにならないように、必ず通訳を挟み、書面で残しておくことをオススメします。


 有給休暇取得、消化でよくあるトラブルは以下のものがあります。

  • そもそも実習実施者が実習生に対して有給休暇を取らせる気が無い。
  • 実習実施者が有給休暇を実習生の承諾なしに勝手に消化したことにしてしまう。
  • 有給休暇を実習生に取得させない。
  • 有給休暇の年度更新時に加算処理をしない。または加算日数が法定に満たない。

以上のような事が発生するのですが、原因は以下の事が考えられます。

  • そもそも実習実施者に悪意がある。
  • 実習実施者が労基法に関して知識不足。

それに対して、どのように対策し、対応するか。

 実習実施者が作成運用している有給休暇管理表がある場合であっても、監理団体が用意した有給休暇管理表(実際に運用している者を参考資料として添付してあります。)を強制的に運用します。

 監理団体で用意する有給休暇管理表は母国語併記をしており、基本情報は監理団体が記入をし、実習生が有給休暇を取得する際は、取得日等の記入を実習実施者、または実習生が記入をし、記入した事に対しての確認サインを記入した方ではない方がします
記入、サインの更新があるたびに実施者はコピーを取り、実習生に渡します。そうすることで、有給休暇が何日あり、いつ消化をして、次回の有給休暇がいつ何日付与されるかが双方把握している状態をつくれます。
また、監理団体は監査訪問時に実習実施者と実習生双方から有給管理表の確認をすることで、しっかり運用されているか確認をします。
あとは監理団体が実習実施者に有給休暇管理表の運用をしっかり指導できれば問題は絶対に起きません。


 有給休暇は労働者の正当な権利であり、それを使用することは正当なことです。
 これは、労働基準法第39条に定められています。2019年4月に働き方改革関連法案が施行され、年に10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、有給休暇が付与される基準日から1年以内に合計5日分の休暇を取得させることが義務化されました。
 会社で計画休を設定する場合は労使間協定が必要なため注意が必要です。

 実習生の場合、よく有給の取り方でトラブルになる場合があります。

 無断欠勤で有給申請をする場合もありますが、法律上の観点からいえば、有給として認められるとは言えません。労働基準法第39条5項では、「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者が他の時季を変更して有給休暇を取得させることができると規定されています。なお、「事業の正常な運営を妨げる」とは、その従業員の代わりがおらず、休暇をとられると他の従業員の業務にも多大な影響がある状況を指します。
 有給休暇は労働者の権利であり、自由に利用することができると思われていますが、法律的な視点から考えると、それは必ずしも正確ではないのです。
実は、法律的には、労働者はいきなり有給休暇を取得できるのではなく、まず、〇月〇日に有給休暇を取得したい、という時季を指定することとなります。これを時季指定権と言います。

 それに対して、会社は、有給休暇の申請があった日に有給休暇を取得されると、事業の正常な運営が妨げられる場合には、有給休暇の取得の時季を変更する権利があります。これを時季変更権と言います。無断欠勤や急な欠勤については、会社が時季指定権を行使できないため有給とならない理由です

「事業の正常な運営が妨げられる」については、法律に明確な基準が定められていないので、個々の状況で判断されますが、現実は、時季変更権が認められるには非常にハードルが高いと言えます。有給にするかどうか?は会社としての判断もありますので認めてあげてもいいかもしれませんが、繰り返しているようなら上記理由での不許可としてもかまわないでしょう。


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