さぁ、いよいよ面接本番です!

ここで3年間(契約年数)が決まります。

時間とコストを割いてまで渡航した甲斐があるように、
悔いのないよう、今までに準備してきた事を発揮して臨みましょう!

面接の前に

  • 送出機関と、面接スケジュール、その段取りを再確認してください。
    • 前日、あるいは当日面接会場へ行くまでに、再確認をして、変更点等を確認しておきましょう。
    • 移動も面接も想定以上に時間がかかる場合が多いので注意しましょう。
      (定刻にお迎えが来ない、思わぬ渋滞など)
  • 応募者の人数、履歴書、一覧表を確認して面接に臨んでください。

※採用条件が明確な場合(ある特定の技能技術レベルの人材採用) は、基準が明確ですので、ある程度選定は容易ですが、事前準備、事前訓練が実施されている場合がある事も考慮して臨んでください。

さて、面接です

  • 面接前に、会社概要、作業内容、簡単な処遇の説明等を実施する事をお勧めします。
    • 送出機関がある程度説明はしていますが、職種だけ、賃金だけしか聞いていない場合も多いです。 トラブルを避けるために、しっかりと説明をしておきましょう。
    • 暑い、熱い、寒い、臭い、汚い、暗い、重い、高い、危ない、などは隠さず、むしろ必ず、しっかりと説明してあげてください。入国後の「聞いてない」トラブルはここから始まります。 受け入れる企業側はこれらの作業や環境に慣れていますから、無意識にも相手が理解している前提として面接を進める場合は少なくありません。しっかりと理解させるように意識して注意しなければいけないポイントでもあります。
    • 実際の作業をビデオで見せるのが近年の常套手段となっています。 (作業風景、宿舎など)

基本は、足切り面接 排除試験と考えたほうが良いでしょう。

  • 日本語の習得が可能か?
  • 3年間(契約年数)真面目に技能実習が可能か?
  • 協調性がありトラブルの原因とならないか?(積極性があるか、指示に従う素直さなどなど)
  • 来日後、日本人社員とうまくやっていけるか?

試験

  • 筆記試験
    • 事前に送出機関が実施する場合もあります。問題を確認して難易度等を確認しましょう。基礎学力レベルの低い子は、日本語能力が上がらない傾向があります。
    • 逆に高学歴の子でも単純作業に慣れない事もあります。
    • クレペリンテスト          集中力、持続力、学習能力、などを相対的にチェックします。
    • 知能(IQ)テスト       基本的な頭の能力を確認します。
    • 性格診断テスト             あくまで参考までに傾向を探ります。 
    • 四則計算テスト             基本的な学力を確認します。

アドバイス

送出機関に依頼しても、当日集まってから試験が実施されることがあります。

テスト自体はそれぞれ15分から小一時間程度はかかりますので、テストを実施させ、その様子を見るのも有効です。

送出機関のレベルによっては、一切信用せず、現地入りしてから、時間を割いて直接その場でテストをさせる場合もあります。 (※事前の試験実施が信用できない送出機関も有ります。特定の候補者からの賄賂による改ざんや、縁故者の強い斡旋圧力など)

  • 実技試験及び体力試験
    • 溶接や縫製はその技能確認の為にほぼ100%実技試験を実施しますが、他の職種の場合、日本での作業に近い試験を実施するのが困難である場合、模擬的な体力測定に近い試験を実施する場合もあります。
      賛否有りますが、重筋作業の場合等、確認しておくのも良いかと思います。
    • 腕立て伏せなどの体力測定等もよく行われますが、その評価基準はその値だけではなく、このようなものも基準として見てください。
      • 試験方法、手順を説明して、きちんと聞いているか
      • わらなかったら質問しているか
      • 先に終了しても、最後まできちんと待っているか
    • 腰痛の多い職種作業の場合。少し重いものを地面から持ち上げてもらって、腰の使い方を観察されていた面接官の方もいらっしゃいました。

アドバイス

実技選考をお勧めします。 (Web面接ではなかなか難しいです。)

面接だけでは測れない能力や思考のクセなどから、その人のウソのない本質を探ります。口で返答するだけなら、短い時間ですから、ある程度取り繕うことは可能です。しかし、具体的な指示を出した後に、それが実行されるかどうかについては、取り繕うことはできません。

どんな作業でも構いませんので、指示を出し、その通りにできるかどうかを一連の言動を通してチェックします。

  • ちゃんと人の話を聞いているかどうか
  • 言われたことがちゃんとできるかどうか。
  • 一度目の注意を指摘し、二度目を実施させ、指摘した点が改善できているかどうかの確認をします。
  • トランプカードテスト
    • 指示した通りに並べられるかどうか確認します。
    • 時間を図り、二人以上同時に取り組ませますが、タイムは判定材料とはしません。
    • 正解を教え、時間をおいて再チャレンジさせたときに、さらに指導した点を学習できているかどうかの確認をします。
  • ピンボードテスト    トランプカードテスト同様
  • 折り紙テスト           トランプカードテスト同様
  • 腕立て伏せ               時間を区切り、指示に対して、どこまで懸命に取り組み続けられるかを確認します。
  • 木材加工テスト       手先は器用かどうか、道具の扱い方など作業一連の行為をチェックし判断します。
  • 机椅子移動片付けテスト 指示したとおりに協力し合いながらできるかどうかを見ます。
  • 豆つまみテスト      手先の器用さ、忍耐強さ判定。色付きのものを使えば色覚検査も兼ねます

面談面接

  • 日本語での自己紹介から始まる場合が多いです 送出機関が前日から一生懸命指導して、ワンパターンの自己紹介を聞くことになります。
    若者達も真面目に頑張って覚えますので、面倒くさがらずに聞いてあげましょう。
    「短時間で丸暗記する能力を評価する試験」をしていると考えてください。
  • 面接は殆ど、通訳を介しての面接になります
    • 通訳の日本語能力に大きく左右されますので、日本側は「やさしい日本語」での質問に心がけてください。専門用語や方言を理解できない通訳は多いです。
    • 可能であれば監理団体側の通訳を同行するのが良い方法です。
    • その送出機関に都合よく、候補者に都合よく通訳されてしまう場合がありますからご注意ください。
  • 応募者の目を見て、顔を見て面談してあげてください。
    • 言葉はわからなくても、表情はわかりますから。
      • 一生懸命説明しようとしている。
      • あまり理解していない
      • ごまかそうとしている
  • 日本ではありませんので、面接時の質問等に制限はないと考えて構いませんが、それを理由に不採用にはしないでください。あらかじめ送出機関に伝えておいて、面接前に確認しておいてもらいましょう。
    • 宗教、入れ墨、家族構成、政治的信条
    • 恋人の有無、家族構成
  • 健康診断系の確認は必ず送出機関に事前に確認してもらいましょう・・・入国後のトラブルを避けましょう
    • 視力、色覚異常、手足の麻痺障害の有無
    • 既往症(腰痛など)、今飲んでる薬、アレルギー
  • 送出機関からの推薦順位なんてのもありますが、そのまま信じても良いですし、何かの思惑の入った順位の場合もありますので、ご自身の目と耳と感覚で判断して、最終決定するように企業側に話をしておいてください。 (推薦はあくまでも参考程度に・・・)
  • 補欠の採用
    • いろいろな事情で、キャンセルが発生する場合がありますので、補欠を決めておきましょう。
      • 健康診断で病気が見つかった
      • 家族に日本へ行くことを反対された
      • その他

    ※補欠者は確定ではありませんので、別の面接に参加する場合がほとんどです。
     送出機関と話し合って、早々に最終的な合否確定をしてあげることをお勧めします。
     日が経った後からのキャンセルの場合は、補欠者の意味をなさないので、再度の面接渡航が必要になるケースもあります。

◎総合的に判断して、採用を決定しましょう。
最低3年間(契約年数)、一緒に
仕事をする社員です。納得して採用してもらいましょう。

合格者が決まったら、まずは、不採用者への最大限の配慮をしてあげてください。遠い所からなけなしのお金を費やし面接に来てくれている候補者もいます。 

アドバイス

日本が好きですか?などのYes or Noで返答できる質問はあまり意味がないでしょう。   Yes or Noで答えられない質問をして、考え方や価値観などを探ることをお勧めします、        

 多くの企業に共通する確認したいポイントは、候補者の性格・人格についてです。 

職歴や学歴などはあまり参考になりません。  素直かどうか、小ズル賢いところはないか、意欲があるかどうか、落ち着きがあるかどうか… これらは数字などで明確に判断できるポイントではないので、探り出す手法を準備して臨まねばなりません。          

面接の手法(質問内容) 

どのようなポイントを探り出し確認したいかを事前に整理し準備しておく必要があります。                

(計画性)          

質問:クラスの先生に「教室が汚い」としかられました。あなたはどうしますか?      

仮説の正解:「まずは掃除し、今後の掃除当番を決めます」    

*掃除すると回答するものは9割以上、当番制まで言えるものは1割未満。      

(几帳面)          

作業:紙に1~10の数字を書いて、点線に沿ってハサミで切り取る。その後机の上に置いたまま、部屋から退室させる。          

仮説の正解:キレイな切り取りができているか、1~10の順番に揃えているか、退室時に切りくずをごみ箱に捨てたか。      

*部屋の見えやすい箇所にゴミ箱を置いておきます。             

*すべてをクリアするものは3割~4割。   

(主体性)          

作業:ある議題を与え5人でディスカッションさせる。(議題や答えは何でも良い)    

仮説の正解:誰がメインとなって仕切っているか、一言も発言しないのは誰か、最終的に誰が代表者として発表するか。             

*通訳者に話す内容も聞いてもらいます。   

(自責思考)      

質問:もらった給与が自分の計算と違う。あなたはどうしますか?      

仮説の正解:もう一度、計算し直してみる。             

*会社や組合の人に聞くと答えるもの8割、自分で間違っていたのではないかと考えるもの2割。             

(思考の柔軟性)             

質問:君のサッカーチームはオウンゴールにより0-1で敗けた。敗因を一つだけ教えてください。          

仮説の正解:2点取れなかった(得点力が不足しているから)             

*9割以上が「連携が悪かった」「体力、集中力がない」など、失った1点に固執する。または複数の理由を回答する。   

他の選抜するときのポイント   

忍耐力、素直さ(誠実さ)、意欲、人懐こい、愛想がよい、など           

 質問例

・忍耐
    仕事経験があれば、今まででイチバン嬉しかったこと、辛かったことは何ですか?

・計画性
   借金はありますか?いくらですか?なぜ借金しているのですか? 返済は毎月いくらですか?

・躾(価値観)
 親はあなたに厳しかったか、一番怖かったのはどんなとき?

アドバイス

家族面談を行う   

合格者の実家に赴き、家族と企業側担当者と監理団体が実際に会うことを常時行っている団体もあります。 逆に合格者の家族、親類を面接場所まで呼んで面談する監理団体もあります。そこまでする必要はないかもしれませんが、メリットがあることも事実です。  

メリット             

・失踪防止の一助になる  (何かあった時は家族に連絡する旨を周知することが大切)
・家族が安心する     (企業の紹介等を行うとなおよい)   
・企業担当者、実習生本人、実習生家族がいる前で給与条件等を説明することで給与面での確認が取れる
   (給与面で聞いていなかったと言うトラブルが減ります)  

採用者が決まったら、お約束の・・・

  1. 再度、企業の説明、作業の説明
  2. 重要事項説明書の説明
  3. 雇用条件書の説明
  4. 雇用契約書等への本人のサイン
  5. 写真撮影
  • 入国してから「聞いてなかった」「社長さんの話と違う」なんてことの無いように、きちんと通訳を介して十分説明してあげてください。
  • 時間が無いから送出機関に任せて・・・・なんて失敗される監理団体もあります。 
  • ★応募者面接者の一覧表等は必ず持ち帰ってください。送出機関から後でデータを入手しても構いませんが、監理団体として機構に報告、記録保管しておく必要があります。

ここまで終わったら、面接の目的目標は殆ど終了です。「お疲れ様でした」

外国の文化を体験するのも良いでしょう。 

採用した候補者の家庭訪問をして生活環境を見てみるのもとても良い事です。

後は、スケジュールに従って、体調を崩さないように気を付けて、帰国してください。


面接が終われば、帰国までは自由時間です。監理団体側は行きなれた場所かもしれませんが、現地観光にも付き合いましょう。

但し、送出機関の過度な接待は良くありません。監理団体側で線引きをしておくことが重要です。

(補足)日本語能力重視が前提の面接において(以前からの既存職種はもちろん、特に介護や宿泊など)

アドバイス

日本語能力を重視したい場合

大人しい・内向的な性格の人材ではなく、明るい・外交的な性格の人材を選抜しましょう。

語学力、特に会話能力は「人と話すことが好き」という人材は飛躍的に成長します。

しかし、日本語会話能力が高い=優秀と決めつけてはいけません。これはあくまでも能力の1つであり、達者な日本語能力が仇となり、社内雰囲気を悪化させることもありますし、余計な一言を申し出てくる場合もあります。

日々繰り返される作業によっては、日本語会話能力が低くても、寡黙でコツコツと安定した生産性を発揮する人材の方がマッチングする場合もあります。

また来日する技能実習生の中では、日本語能力ではなく、別の能力や年齢などで、上下関係・信頼関係などを構築している場合もありますので、監理団体や受入企業が日本語会話能力=優秀と決めつけて、「リーダー」と決めつけるようなことがあってはなりません。

日本の社内における「リーダー」とは、技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員であり、待遇も同じ技能実習生は扱いも同じにする必要があります。

「リーダー」と決めつけた技能実習生に対し、仲間の技能実習生問題を伝え、解決させようなどすると、技能実習生間の関係性が崩壊し、更に状況を悪化させる場合もあります。

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