実習実施者とのトラブルの一つに、費用請求トラブルが有ります。見積もり段階で、発生して請求が予想される費用は確実に見積書に記載しておきましょう。 言った言わない! 聞いてない!! しっかりと説明してトラブル発生を防ぎましょう。

監理団体で発生する費用ってどんなものがあるの?

実習機構の監理費管理簿を参考にすると、次のようなものが監理費用として徴収されています。

この費用以外に監理団体を経由して実費精算するものに、次のような費用が有ります。

 技能実習生保険
 雇い入れ時健康診断費用
 技能実習機構 実習計画認定審査手数料 
 入国管理局 在留資格変更・更新手数料
 技能試験 受験料

注意事項

  • どのような費用が発生して、それはどのタイミングで請求書が発行されるのか、きちんと説明をしておいてください。出来れば書面又はメールでの通知をすることをお勧めします
  • 「どちらが払うの???」これも、トラブルの多い事項の一つです。 言った、聞いてない!! にならないように十分注意してください。毎月の国内監理費、送出し管理費と費用発生時の実費精算ですが、基本的に全ての費用は直接的、間接的に実習実施者が支払うことになります。
  • 国内監理費が管理費ではなく監理費であることをしっかりと理解してください。
    •  監理=監督・管理すること。とりしまること。
    •  管理=よい状態であるように気を配り、必要な手段を(組織的に)使ってとりさばくこと。

費用見積もりと監理費表

本人給与や企業負担の社会保険料を含めた全ての費用が3年間(5年間)で一人当たりいくらになるのか、更に月当たり・時給当たりに直したときにいくらとなるのか、また、受入人数が変わることで全体の数字がどれほど変動するのか等を見積もり表で提示しながら説明してください。
※監理団体許可申請時に作成した監理費表には本人給与や企業負担保険料、寮関連費等が含まれないため、見積り表を別途作成した方がわかりやすいでしょう。
もちろん、その金額をもって、技能実習生は安い労働力ではなく“人づくり”なのだという認識を改めて頂く機会にもなります。

送り出し機関への費用

監理団体は協定(及び覚書)を結んだ送り出し機関に対して下記の項目を支払います。
・教育代(事前講習費)
・送り出し管理費(人・月)
・チケット代(実費)
 
現地側の法律によって金額が定められている場合があります。
  例)ベトナムの場合
  ・教育代 15,000円以上/人
  ・送り出し管理費 5,000円以上/人・月
※法律で定められているから、この金額を送っておけば良い…ではなく、何をどこまでしてもらう役務に対する対価かを事前にしっかりと取り決めしておきましょう。
※最近報道でもあるようにキックバック(送り出し機関から紹介料等をもらう行為)は技能実習法上違反です。一人の行為でその監理団体の実習実施者・実習生すべてに影響が出る恐れがあるので、誘いがあっても決してのらないようにしましょう(だいたい後日バレます)。

一般的な費用請求と支払い

入会時の費用請求

入会金や出資金その他監理団体(協同組合)の定款や規定の通りに処理を行ってください。
 ・ 組合出資金として、証書を発行して返金が求められるもの、
 ・ 加入手数料(入会金)として、返金を求められないもの、
 ・ 賦課金として、その恩恵を受ける者が団体に対して納めるものなど、
組合によって仕組みが違います。定款を確認してください。

面接時の費用清算

監理団体側の面接費用は毎月の監理費から支出し、面接時に実習実施者に請求する事は一般的ではありません。
実習実施者側の費用は全て払ってもらいましょう。(渡航費、移動費、宿泊費、食費・・)
  ※一旦監理団体が立て替えて、帰国後に一括で実費精算する所もあります。

入国前の費用請求

入国時の費用は毎月の監理費ではなく、入国後講習の費用を含めて事前に実費請求処理する所が多いです。 

 申込金(手付金)
 実習生の入国時航空チケット代
 出迎え費用
 入国後講習費用
 健康診断費用
 講習手当
 実習生総合保険料

o 出迎え費用は、少人数の場合、費用請求をしない監理団体も有りますが、人数によって移動手段が貸し切りバスになったり、想定外の費用発生が有りますから、事前打ち合わせは綿密にしておいてください。後から実習実施者に、出費が有ったので請求します!! なんて言ってトラブルにならないように注意してください。
o 入国後講習終了後の配属時の交通費等も忘れないようにしてください。
o 申込金(手付金)を徴収する、しないは監理団体の自由です。徴収している監理団体では、面接後の安易な企業都合キャンセルを防止するため、また、本人および送り出し機関への賠償の原資としているケースもみられます。無論、徴収することにより、全体コストがUPとなるため、一担当者のみで判断出来ない項目ではあるので、監理団体方針としてどうするかお考え下さい。

その他の請求項目、費用発生時の実費請求

事前に通知して説明する事が大切です。請求は事前でも事後でも構いませんが、規定通りに請求しましょう。

 技能試験の受験料
 在留資格変更時の機構の審査料と入管の手数料(印紙)
 組合出資金・賦課金(年会費)
 JITCO年会費(加入する場合に発生。組合・加入企業に年会費発生)
 実習生の国内移動交通費、荷物送料
 その他職種によって、特殊健康診断、技能講習・特別教育費 等
 その他

実習実施者が初めて技能実習生を受け入れる場合は、寮の賃貸契約時に敷金・礼金・家具家電および生活必需品の準備が必要です。
 監理団体経由での支払いではない場合でも事前に実習実施者には説明しておきましょう

毎月の監理費(管理費)請求

ルール通りに毎月監理費(管理費)の請求書を発行しましょう。あなたがルールを守らないと、相手もルールを守ってはくれませんから。

トラブルや質問で多いのが「実習生に払わせて良い?」

雇い入れ時健康診断

基準通達で「・・・事業者が支払うことが望ましいこと。」というのが出ています。法律違反とは言えませんが、事業主負担で実施されるのが一般的です。

実習生保険

これも法律の規定は有りませんが、求人時の処遇の中に含めて良い人材を集める手段の一つと考えて、実習実施者が支払ってあげるのが良いと説明してください。実習生が事故、事件に有ったときに確実に会社が助かります。万が一死亡したときに、自己責任だから・・と放っておくことはできません。家族を呼んだり、遺体を処理したり、数百万円の費用が発生します。

1年目と3年目と5年目の技能試験

これは、技能実習法で義務化されました。 合格したら本人の資格ではありますが、実習実施者は受験をさせて、実習の達成度等の確認を実施しなければなりません。受験料は実習実施者が支払う事を説明してください。

不合格の場合の再試験は本人に払わせても良いだろうと考える方もいらっしゃいますが、指導不足の責任も考えてください。1回で合格できるように指導する事に全力を注いでください。

保険や共済の選び方(補償内容、自転車、掛金…)

在留資格申請後に企業都合でキャンセルをした場合(入管に履歴が残るため)の本人への賠償

通常期間以上の事前講習を求める場合の追加負担(送り出しおよび本人)も送り出し機関との契約に記載するように

振込ではなく、口座引き落としで未入金を防止している監理団体もあります。


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