職業安定法は労働市場のルールを定めた法律で、主に職業紹介・労働者募集・労働者供給について定めたものです。

特定技能1号および2号の在留資格については、職業紹介事業の許可などを受けて、国外に存在する求職者の受入れに関する職業紹介を行うことが可能です。
また、特定技能については、その他の在留資格と同様、在留資格で認められている範囲内で転職が可能であり、特定技能外国人材に対して転職先のあっせんを行う場合にも、職業紹介事業の許可などが必要です。

入管法に基づき登録支援機関の認定を受けている場合は、特定技能外国人材の受入れに関する支援など(非自発的離職時の転職支援を含む)を行うことができますが、登録支援機関の認定を受けていても、職業紹介を行う場合には、別途職業紹介事業の許可などを取得する必要があります。

【特に特定技能制度において職業安定法違反となる事例】

・厚生労働大臣の許可を得ていなかった者
登録支援機関ではあるものの、有料(無料)職業紹介の許可等を得ていないにも関わらず、特定技能所属機関に特定技能外国人をあっせんし、その役務の対価として紹介料(紹介料とは異なる名目に変えて徴収する場合を含む)を徴収する行為を指します。同じく、職業紹介を有していない登録支援機関に“名義貸し”を行う行為も目立ちますが、こちらも違反行為となります。

・職業紹介で禁じられている職業を紹介した者
特定技能建設分野の特定技能所属機関に対しては、そもそも職業紹介が禁止されています。こちらも名目を変えて、紹介料相当額を徴収している事例がみられます。

・虚偽の広告または条件の提示によって、職業紹介、労働者の募集等を行った者
・虚偽の条件の提示によって、職業紹介事業者に求人の申込みを行った者
少しでも面接候補者数を増やすために本来の雇用条件とは異なる内容や虚偽の内容で募集を行った場合も違反行為となります。

特定技能制度上、特定技能雇用契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以降に、労働関係法令に関する不正行為を行った場合は、事案の重大性に応じて欠格事由となる可能性があります。

ポイント(職業紹介事業の許可のない登録支援機関の位置づけの場合、具体例を交えて)

●職業紹介業務に触れることなく問題ない行為
 ・元技能実習生をそのまま、実習先と同じ企業にて、特定技能へと在留資格変更を行い、支援する行為(募集や斡旋業務に関わっていない)
 ・受入企業側が見つけてきた特定技能外国人の諸手続きや支援に関わる場合
 ・登録支援機関の乗り換え目的で、支援業務を依頼された場合
 などなどが想定されます。

●職業紹介業務に該当する行為
 ・受入企業が求める人材について雇用条件などを整えて募集し、選別や斡旋を行う行為
  (当然ながら、受入希望企業が主体的に雇用条件を整え、募集し採用に至る行為は問題ありません)
 ・非自発的離職時に、他の就労先を探し出し、見つけて雇用条件などの調整を図るなどの行為
 (あくまで本人が主体としてその活動の相談に乗ったり、ハローワークへ共に手続きに行く支援は問題ありません)
 などなどがあります。

明確な線引きは、都度管轄先の労働局に直接問い合わせ、違反行為とならない支援に励むよう、配慮する必要があります。
なお、十二分な支援を発揮する場合は、そもそも論として職業紹介事業としての許可を取得しておくことをお勧めいたします。
注:建設においては特別の許可を得ない限り、有料職業紹介は不可能となりますので、有料、無料のどちらで許可を取るか、その選択は当事者判断となります。

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